ヤギ生産 県が指標 農家経営、課題解決へ


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 桑原 晶子

 生産の増加傾向が続くヤギの振興を目指し、沖縄県畜産課は農家経営の参考となる「山羊(ヤギ)経営技術指標」をまとめた。ヤギの飼養頭数や平均体重、雇用人数などを入力すれば農家経営のシミュレーションができる。設備投資や規模拡大をする際にも費用対効果を見込みやすくなり、畜舎や機械などの導入時にも融資や畜産クラスター事業をはじめとする行政支援を受けやすくなる。産業としての基盤強化にもつながりそうだ。

 技術指標は県の「おきなわ山羊生産振興対策事業」の一環で策定した。

 繁殖用の母ヤギが約50頭いる農場では出荷用も含めて約150頭のヤギがいるモデルケースを標準に設定した。ヤギの平均体重を目標まで増やすのにかかる餌の費用や労働費などの経費を織り込んだ利益を試算できる。指標を参考にすると、標準的なケースに比べて個別の農家でどこに余分なコストがかかっているかといった経営上の課題も見つけやすくなる。

 技術指標は農家にも配られるほか、規模に合わせた経営シミュレーションができる表計算データは農家の指導に当たる県の普及員やJAの営農指導員にも配布する予定だ。

 ヤギの飼育は従来、個人が数頭を飼うスタイルが主流で、経営は個人の腕によるところが大きかった。

 ヤギの食肉としての人気が高まり、一部の家畜市場でヤギの取引が行われるようになるなど、市場が活発化する中、1農家当たりの飼養頭数も増加傾向にあり、農家経営のモデルとなる指標のニーズが高まっていた。

 畜産課の担当者は「餌代をかけても体重を増やして出荷したほうが利益が見込めるなど、多角的な経営分析ができるようになる。経営強化の一助にしてほしい」と語った。