ブラックバイト、新入生から対策 沖縄キリスト教学院大学 体験演じて問題共有


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ブラックバイト経験を話し合い、寸劇のシナリオを作る沖縄キリスト教学院大学の学生ら=5月17日、渡嘉敷村の国立沖縄青少年交流の家

 ブラックバイト対策は新入生から―。沖縄キリスト教学院大学は新入生オリエンテーションキャンプを渡嘉敷村の国立沖縄青少年交流の家で5月16、17の両日に行い、学生生活と両立できるバイトのあり方を考えた。高校を卒業したばかりの学生がほとんどだが、自分たちの体験を基に作った寸劇では「売り上げが悪いと賃金を下げられた」「休憩時間も働かされた」など厳しい実態が紹介された。

 このプログラムはオリエンテーションの一部として17日、約2時間をかけて行われた。同様の取り組みは4年目。新入生全員の約100人が参加した。会場での挙手によると、8割ほどの学生は高校時代を含めてバイト経験があった。

 まずは教員らが、これまでの学生たちの経験を基に構成した迫真の寸劇を上演した。ミスで大量発注した商品を買い取らせられ、退勤後に作業を頼まれるなどの姿に、学生たちは爆笑しながら「あるあるだよねー」と共感。次にグループに分かれて自分たちの経験を出し合い、シナリオを考えて演じ合った。

 学生と教員の挙手でグランプリに選ばれたのは、休憩も取れず、クリスマスケーキの売れ残りを買い取らされたコンビニでの経験を演じたグループ。困りながらも店長の要求に応じてしまうバイト生をリアルに演じた仲宗根康太さん(18)は「話し合いでは『分かる』『いるよね』と共感し合い、舞台では『こんなことがあるのを分かって』と演じて発散できた」と話す。「ありがとうね」「助かる」など感謝の言葉を掛けつつ無理を押し付ける店長を演じたロザノ・リョークさん(18)は「されたら嫌だけど、劇中では命令するのを楽しんでしまった」と異なる立場での感じ方を発見した。

 新入生のグループには、2年生の学生会メンバーがサポートに入った。会長の城間柚希さん(19)は「自分たちで演じることで『ありえない』と笑いながら客観的に見ることができるし、先生や他の学生からアドバイスももらえた」と1年生での経験を振り返る。その後も「俯瞰(ふかん)的な視点を持ち、バイト先は一つだけじゃないと思えるようになった」と実生活に生かされているという。

 国際人権論などの講義を担当し、このプログラムを実施した玉城直美准教授は「授業を受け、友達と遊び、夢に向かって時間を使うのが大学生らしい生活。バイトでつぶれそうな仲間がいたら、声を掛け合って助け合って。先生たちも相談に乗る」と呼び掛けた。