「挑戦あるのみ」 玉城さん、研究生活語る 琉大21世紀フォーラム


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「引きこもるために他者と体を共有できる仕組みを作りたい」と語る玉城絵美さん=西原町の琉球大学

 学内と社会、学生と職員の交流の場となる「琉大21世紀フォーラム」がこのほど西原町の琉球大学であり、同大出身で早稲田大学創造理工学研究科准教授の玉城絵美さんが、コンピューターを介して人間の体の動きを外界と共有する「Body Sharing」(体の共有)技術の研究、普及させる会社経営、教員の「三足のわらじ」生活を語った。教員や学生などで会場は満員で関心の高さが表れた。

 Body Sharingは玉城さんの造語。「外出したくなく引きこもりたかった」という玉城さんが、自分の代わりにロボットや誰かの体に外に出てもらい、感覚を共有してさまざまな体験をすることを夢想する中で、映像や音だけでなく、触れる、ぶつかるといった身体感覚まで共有するシステムを考えた。

 東京大学大学院在学中の2011年、コンピューターを介して脱力した人間の手を動かす「ポゼストハンド」を開発した。

 筋肉を動かす電気信号をコンピューターに学習させ、それを腕の表面につけた電極から発して指を動かす仕組みは世界を驚かせ、使いたいという要望も寄せられた。

 量産のために12年に友人と「H2L」を創業。起業に向けてはメーカーに協力を依頼し、仲間と分業して研究を進め、販路拡大のため国際情勢や産業政策を学ぼうと官僚の勉強会に参加するなど活発に活動した。

 目指すのは人間の体の共有だが、抵抗感を持つ人が多いという。どこまでなら社会に受け入れられるかニーズ調査をし、まずは仮想現実で遊ぶゲームに着目。腕時計のようなコントローラーで筋肉の動きを読み取り、手を動かすと画面の中の「母」が家の中の物を壊しまくり、損害金を競う「母ご乱心」というストレス発散ゲームを開発し好評を博しているという。

 現在は、仮想世界を操作することによる危険性や心理面の影響を研究しつつ、開発・普及を目指すという玉城さん。「沖縄でも東京でもどこにいてもビジョンがあれば挑戦するだけ」と後輩にエールを送った。