「抑止力に」「攻撃の対象」 石垣陸自配備に賛否


この記事を書いた人 琉球新報社
陸上自衛隊配備賛成・反対双方の立場から多くの意見が出た石垣市主催の意見交換会=11日、市民会館大ホール

 【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り市は11日、全市民を対象にした意見交換会を市民会館大ホールで開催した。市が全市民を対象に開催するのは初めて。200人を超える市民が参加し、配備賛成・反対双方の立場から多くの発言があった。中山義隆市長は意見交換会を再度開催しないとの考えを示し、今回の意見を配備に向けた「最終判断」の検討材料にするとした。

 意見交換会は質疑応答と意見陳述の時間がそれぞれ設定され、参加者からの質問には中山市長が答えた。1次産業への影響や希少動植物の保全策、インフラ整備などについて質問があった。

 配備により農業用水・飲料水などが汚染される危険性についての認識を問う質問に、中山市長は「仮に配備が決定した場合には、影響がないようにするのも役目なのでしっかり確認したい」とした。

 意見陳述は賛成・反対の市民が交互に発言する方式が採られ、合計18人がマイクを握った。賛成する市民からは、尖閣諸島への領海侵入を念頭に、中国の脅威に対する抑止力になるとの意見や災害への迅速な対応、基地周辺整備事業や若年層増加による活性化への期待などが述べられた。

 反対する市民からは、攻撃対象になるとの懸念や1次産業発展の阻害要因になるといった声が上がったほか、市民生活への影響を調べていないとして、市の対応を「無責任だ」と批判する声もあった。

 今後も意見交換する場を求める声もあったが、中山市長は報道陣に「十分に市民の意見が聴けたと思う」として、開催しない考えを示した。