「人生やり直したい」、涙の陳述 子宮頸がんワクチン訴訟で20歳女性


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厚労省が公表した子宮頸がんワクチンのパンフレット

 【福岡で謝花史哲】国が接種を呼び掛けた子宮頸(けい)がんワクチンの接種が原因で、全身が痛むなどの副作用が出たとして、接種を受けた沖縄県内女性4人を含む31人が国と製薬企業2社に損害賠償を求めた訴訟(九州訴訟)の第8回口頭弁論が13日、福岡地裁(倉澤守春裁判長)で開かれた。沖縄県宮古島市の平良亜子さん(20)が意見陳述で「ワクチンを打つ前に戻って人生をやり直したいが、それはできない」と悔しさをにじませた。

 平良さんは2年前にも本紙の取材を受け、学校で気を失ったり、けいれん発作を起こしたりするなどの症状や裁判参加について語っていた。当時は匿名だったが、今回意見陳述するに当たり、実名を公表することに決めた。

 平良さんは「実名で訴えれば、訴訟のことを広く知ってもらい、周りの理解を得られるのではないかと思った」と説明。「自分のような症状に苦しんでいる人を少しでも勇気づけられたらと思った」とも語った。

 車いすで入廷した平良さん。5月にも3週間、静岡県の病院に入院するなど治療が続き、全身に痛みを抱える。意見陳述では「教員になるという夢に向かって頑張りたいが、進学することもできない。体を動かすこともままならなくなった」と涙ながらに話し、「ワクチン接種で健康な体を失った。不安な日々を送っている。国や製薬会社は責任を取ってほしい」などと訴えた。

 製薬企業側は原告側が提出したワクチンによる副作用を指摘する医師の論文について、「欠陥がある。使用するデータも十分ではない」などと指摘した。

 情報提供についてもワクチンは医療薬のため、医師への情報提供で十分であり、責任は果たされていると反論した。