「鉄道ずし」、お年寄り満喫 宜野湾の「琉球」 施設ボランティア


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おもちゃの鉄道に乗ったすしを頰張る施設利用者ら=13日、読谷村長浜のヴィラージュせなは

 【宜野湾・読谷】おすしを乗せて出発進行―。沖縄県宜野湾市大山の海産物専門店「琉球」(渡久地隆道代表)のスタッフらが読谷村の福祉施設をボランティアで訪問し、おもちゃの鉄道を使った即興の回転ずし屋を開いている。外食が難しい高齢者や障がい者に施設内でおいしい「食」を楽しんでもらうためのユニークな取り組みだ。

 13日正午、読谷村長浜にある福祉施設「ヴィラージュせなは」の広間に、出張回転ずし屋「隆道くるくる寿し」が開店した。テーブルには鉄道のおもちゃのレールが2車線、それぞれ8車両が並ぶ。テーブルには、60代から100歳を超える人までのおじいちゃん、おばあちゃん約20人が座る。

 「ジー」。おもちゃ特有の“エンジン音”を鳴らしながら、屋根にネタを乗せた車両が進む。マグロ、サーモン、卵―。車両が速過ぎて皿を取り逃したり、脱線してネタをこぼしたりするのはご愛嬌(あいきょう)。“お客さん”たちは「あい、こぼれたさ」と車両をレールに戻してあげたり、職員に「マグロがいい」と耳打ちしたりして、回転ずしを楽しんだ。

のれんを前に笑顔を見せる渡久地隆道さん(左)と緒方望さん

 おもちゃの回転ずしを「上等ね」と褒める知念寺一さん(85)=読谷村=は「マグロがおいしい」と頰を緩ませた。

 渡久地さんがボランティア訪問を始めたきっかけは、3年前に同施設で職員向けに通常の出張すしをした時のこと。渡久地さんがヴィラージュの緒方望代表(48)から「施設利用者を回転ずしに連れて行きたいけど、なかなか外出が難しい」との話を聞いたことだった。「だったらここでやろう」と決意した渡久地さん。安くて簡単にできる方法を考え、おもちゃの鉄道を思い付いた。

 13日の出張回転ずしは1月に続き2回目。緒方代表は「高齢者や障がい者の方は気持ちが落ち込んでしまうこともあるけど、おいしい食で気分も良くなる。ありがたい」と感謝する。

 渡久地さんは「施設の人から『普段あまり食べない人が回転ずしだと楽しそうにたくさん食べる』と言われて、とてもうれしかった。いろいろな施設を回りたい」と笑顔で語った。
 (長嶺真輝)