知事選候補選びヤマ場  告示まで4ヵ月  一本化へ調整、波乱含み


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 任期満了に伴う県知事選(11月18日投開票)は11月1日の告示まであと4カ月に迫った。現職の翁長雄志知事(67)は2期目について、態度を明らかにしていないが、県政与党は翁長氏を擁立する方針を決定しており、一部政党はすでに政策づくりなどに着手している。一方、野党自民は、佐喜真淳宜野湾市長(53)を軸に候補者選考作業を進めており、7月上旬にも候補者を決定したい構え。8月中旬にも辺野古海域への土砂投入が想定される中、新基地建設の是非や沖縄振興策の評価などが争点となる。

 現在開会中の県議会6月定例会で翁長氏は、与野党双方から次期知事選への対応を問われたが、「今はしっかりと病気の治療を行いながら一日一日公務を着実にこなしていき、県民からの負託に応えていきたい」と明言を避けた。膵臓(すいぞう)がん切除手術後の定例会だっただけに、野党から体調を懸念する声が聞こえたが、与党からは「2期目に向けた強い決意を感じた」と2選出馬を期待する声が上がった。

 ただ、与党の一部には、翁長氏の体調を不安視する意見もある。そんな中、政党や労働組合などで翁長氏擁立に向けた調整会議(照屋大河議長)が1カ月以上開かれていない状況に、「危機感が足りない」(与党県議)との声も聞こえ始めるなど、政党間の連携不足を懸念する意見も上がる。一方、翁長氏が出馬しない場合の後継として、与党の一部からは謝花喜一郎副知事(60)を推す声もある。

 一方、自民を中心に組織する選考委員会(国場幸一委員長)の絞り込み作業は佐喜真氏を軸に「大詰めにきている」(翁長政俊県連会長代行)状況だ。佐喜真氏は26日に宜野湾市内で開かれた政治資金パーティーで「悩みながら政治家は決断する。知事選挙、皆の力でわが陣営に(県政を)取り戻そう」とあいさつするなど出馬に意欲を示している。

 ただ、出馬した場合、空席となる宜野湾市長の後継選びや市長の継続を求める声が強い後援会の理解など、地元の環境整備が依然課題となっており、最終的に出馬を決断できるかは不透明な状況だ。

 また、人選を巡っては、元沖縄観光コンベンションビューロー会長でシンバホールディングス会長の安里繁信氏(48)も出馬に意欲を示す。安里氏本人やその周囲は選考委員会が1カ月以上開かれていないことに不満を持っており、候補者の一本化に向けて波乱含みとなっている。

 一方、候補者選考と平行する形で、前回知事選で自主投票を決定した公明や市長選挙で連携を組む維新との調整も水面下で始まっており、候補者が決定次第、政党間の協力体制の構築を急ぐ考えだ。