「明日どう生き延びれば」 未就学児調査 母子で受診できぬ事も


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支援者に勧められて受診した精神科病院で、うつ病と診断された女性の診断書。これまで受診を控え、市販薬でやり過ごしてきた

 沖縄県の未就学児調査では、子どもの受診控えが5歳で2割に上り、保護者自身が医療機関に行けなかったと答えた割合が4割を超えた。本島南部に住む小3と4歳、2歳の3人の子どもがいる32歳の女性も、夫のつくった借金が原因で、子どもや自分自身の病院受診を諦めた経験を持つ。

 ぜんそくのある上の子の治療を優先するため、夫からDVを受けた傷や抑うつも市販薬でやり過ごした。それでも、下の子を歯科などの医療機関に行かせることはできなかった。

 世帯収入は「低所得2」(122万円~183万円未満)に該当する。建築業の夫がギャンブルにはまってからは、毎月の給料の半分にあたる7万円しか家計に入れなくなり、会社員だった女性の育児休業給付金とカードローンでどうにかやりくりした。職場復帰しようにも、子どもを認可保育所に入れることができず、育休を延長せざるを得なかった。

 昨年末、夫の給料が消費者金融に差し押さえられ、さらに生活が崩れた。受診どころか、家賃や光熱費を払えず、食料や衣料も満足に買えなくなった。「明日はどうやって生き延びよう…」と悩み、夜も眠れなくなった。

 上の子のランドセルなどは、最初の夫と離婚してひとり親となっていた時に受給した児童扶養手当を充てた。支援団体を通して就学援助制度の存在を知ったのは、上の子が小2になってからだ。「もっと早く制度につながりたかった」と悔やむ。2番目の子も数年で小学生になる。入学費用が何より気掛かりだ。

 女性は今年、支援団体の勧めで精神科病院を受診し、うつと診断された。診断書を提出したことで、子ども2人は認可保育所へ入所できることになった。4月に夫と離婚し、安眠できるようになったが、今も週の半分は体調が悪く、満足に動くことができない。上の子に下のきょうだいの世話を頼むことも多い。

 行政に望むこととして「オムツや米など日用品を回数制限なく現物支給してもらえると助かる。認可保育園の入園もハードルを低くしてほしい」と訴えた。