戦争の記憶 地方紙継ぐ ヤフーJトーク企画 戦後世代の連携重要


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ヤフージャパンが地方紙と開いたトークイベントで琉球新報から玉城江梨子記者(右)が報告した=2日、東京都内のヤフー紀尾井町オフィス

 【東京】ヤフー・ジャパンが地方紙と共同して戦争について伝えるプロジェクト「未来に残す 戦争の記憶」のトークイベントが2日、都内のヤフー本社で開かれた。琉球新報と東京新聞、西日本新聞の記者が各社の取り組みを報告した。戦後73年が経過して戦争体験者の証言が少なくなる中、今後どう戦争を伝えていくのかなどについて話し合った。

 琉球新報の玉城江梨子記者は本紙企画「沖縄戦新聞」「沖縄戦後新聞」を示して取り組みを紹介。今も戦争の記憶におびえる高齢者の存在を挙げ「体験そのものは聞けないが、戦争の記憶がその後の人生にも影響を及ぼすことは伝えられる。体験がない世代だからこそ伝えられることがある」と述べた。

 東京新聞の早川由紀美編集委員は「今につながるものを一つ見つけて、そこから戦争を描くことができないか」と話し、「水」や「桜」をキーワードに戦争を描いた記事を紹介した。西日本新聞の福間慎一記者は新聞社内で記者の個性が埋没してしまいがちだと指摘し「記者が自分を表に出し記事を書くことが必要ではないか」と提起した。

 各社の取り組みでは沖縄戦や太平洋戦争時の空襲被害について、当時の紙面では報じられなかった状況を現在の視点で記事にする試みが報告された。さらにインターネットも使って伝えていく手法も紹介された。

 併せてヤフーは2日から15日まで、琉球新報、東京新聞、西日本新聞、神奈川新聞の戦時中の紙面と現代に再編集した紙面を同時展示するイベントも開催している。