沖縄県は2018年8月9日、米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回に向け、工事の事業主である沖縄防衛局の反論を聞くための「聴聞」を県庁で実施した。
辺野古の新基地建設を巡る問題は今、重大な局面を迎えている。
埋め立て承認に関してこれまでどんな経緯があったのか、承認の「撤回」やその前段階の「聴聞」とは何なのか。いまさら聞きづらい疑問をおさらいしてみた。
埋め立て承認撤回のQ&A
Q.2015年の承認「取り消し」と今回の「撤回」の違いは?
A.前回の取り消しの際は、前知事が行った埋め立て承認の過程に対して瑕疵(欠点、欠落)があったとして、承認の行為を取り消した。今回は、承認が行われた時点では違法ではなかったが「承認以後に新たな問題が明らかになった(地盤が軟弱である、環境保全策が十分でないなど)」「約束が守られなかった」として撤回を行う。
Q.聴聞で国の反論を聴く必要はあるの?すぐ撤回できないの?
A.ポイントごとに説明する。
ポイント①まず「撤回」とは、承認後の事情の変化を理由に、公益上の必要が高いとして行政処分を取り消す措置のこと。
ポイント②「行政手続法」で、行政は許認可の取り消しなどの不利益処分を行うときは事前に言い分を聴く「聴聞」を実施しなければいけないと定めている。
ポイント③行政手続法での聴聞は国や地方公共団体には適用されないことから、県はもともと聴聞は不要という立場だった。しかし、今後、裁判が起こったときのことを想定し「手続きに不備がある」と指摘されないために反論の機会を与えた。
ポイント④ただし、行政手続法では「緊急を要する場合」には聴聞を経ず撤回してもよいとあるので、国の対応を待たず早期に撤回することは可能。