【宜野湾】見守られる側から、見守る側へ―。宜野湾市真栄原で老舗商店「許田商店」を1人で営む許田盛勇さん(83)は、1年半前に脳梗塞で倒れて以降、支援機関や地域の人から見守られていたが、体調の回復後は逆に、商店に来る子どもたちや高齢者の見守りに積極的に関わっている。15日には支援機関の職員と一緒に許田商店で小さな夏祭りを開き、地域の人たちと交流を深めた。
輪投げやヨーヨー釣りを楽しむ子どもたちの笑い声。地域の人のサックス演奏に合わせて「ふるさと」や「芭蕉布」を口ずさむ、おじいちゃんやおばあちゃんの歌声。15日午前、店には次々と地域の人たちが訪れ、終始にぎわった。
ニコニコしながら店内を眺めていた許田さんは「こんなに来てびっくりしてる。子どももたくさんいて、楽しいね」と照れくさそうに話した。近所に住む国吉昌子さん(76)は「公民館の夏祭り以外でもこういう交流の場があると楽しいね」と笑った。
許田さんが脳梗塞で倒れたのは2016年12月。1カ月後に退院した後も「子どもたちも来るから閉めたくない」と店の経営を続けたが、1人での生活を心配した地域の人が市地域包括支援センター「ふれあい」(市真栄原)に連絡し、職員や真栄原地域で支え合い活動をする人たちによる見守りが始まった。
ふれあいの前田令巳央さん(45)によると、許田さんは初めは見守る人に素っ気なかったというが、体調が回復するにつれ、だんだんと笑顔も増え、センター職員や地域との交流に前向きになっていったという。
前田さんは「見守られる側が、逆に見守る側になってくれている。交流することで、自然とお互いを見守るような関係になってほしい」と期待した。(長嶺真輝)