防衛局、PFOS検出で 米軍回答弱め県に伝達 協議「無駄」→「説明いただくなど要しない」


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 米軍普天間飛行場周辺から発がん性が指摘される有機フッ素化合物のPFOS・PFOAが高濃度で検出された問題で、県が米海兵隊と沖縄防衛局との三者協議を求めた際、米軍が拒否した回答を防衛局が県に正確に伝えていなかったことが24日、分かった。米軍は会合を持つことや追加質問に答えることについて、防衛局に「意味がない/無駄だ(There is no point)」とメールで回答していた。一方、防衛局は回答の表現を弱め、「改めて直接説明をいただくなどは要しないとの回答を受けた」と県に伝えた。

米軍からの回答(上)と沖縄防衛局が県に出した文書

 識者からは「防衛局が米軍の不誠実な回答を取り繕い、米軍が協議を拒否した問題の本質が分からなくなっている。防衛局が地元と米軍の間に入ることで、逆に問題が生じている」と指摘している。

 沖縄防衛局と米軍とのやりとりは、環境問題の調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の河村雅美代表が防衛局への情報公開請求で入手した。

 普天間飛行場周辺の有機フッ素化合物の検出に関し県環境部は、2017年に沖縄防衛局を通じて米軍に三者協議会の設置を求めた。米軍は「PFOSがこれまで規制された物質ではなかった」との理由で、防衛局に会合を持つことが「無駄だ」と回答した。防衛局は「県の調査結果を伝えており、(米軍が)改めて直接説明をいただくことなどは要しないとしている」とし、実際の回答とは異なる内容を県に伝えた。

 米国防総省は、09年にPFOS・PFOAを「新規汚染物質」として扱う指示書を出し、海外基地を含めて調査を実施している。河村代表は「なぜこのような回答になるのか。国や県がなめられている」と米軍の回答のずさんさや、国防総省の政策を踏まえて米軍と交渉できない沖縄防衛局の対応を批判した。

 沖縄防衛局は取材に対し、「当局が県に回答した文書はメールのほか、米側との会議の結果を踏まえた上で回答した」としている。県環境部は「防衛局からの文書がどういう形で出されたものか詳細は分からない」とした上で「いずれにしろ、三者で原因を確認する場の設置を引き続き求めたい」と述べた。