「戦争は心身傷つける」 観光ガイド友の会・平和講演 大西さん、記憶たどり涙


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「戦争は繰り返してはならない」と訴える大西正子さん=26日、豊見城市の沖縄空手会館

 沖縄県内を訪れる修学旅行生に沖縄戦跡などのガイドを行う、県観光ボランティアガイド友の会の設立20周年を記念した平和講演が26日、豊見城市の沖縄空手会館で開かれた。家族連れなど約70人が会場を訪れた。同会の会員で語り部の大西正子さん(86)=那覇市=が「戦争は人の体と心を傷つける。絶対に繰り返してはならない」と訴え、来場者は時折涙を見せながら静かに耳を傾けた。

 当時12歳だった大西さんは、沖縄戦で家族と姉家族を含む13人を失った。

 1945年3月、親族と共に繁多川の壕に避難したが、当時2歳のめいの泣き声で「米軍に届くと爆弾が落とされるから」と壕を追い出された。大西さんは「赤ちゃんを殺してしまえと言う人もいた。そんなことができますか」と涙し訴えた。

 高嶺村(現糸満市)の製糖工場で米軍の攻撃を受け、めいやおい、いとこら4人が目の前で亡くなった。「何秒後かには自分かもしれない。いたわる余裕も全くなかった」と振り返った。

 自身も足を負傷し、今も残る傷跡に「当時のつらい記憶を思い出す。死んでしまいたいと思うこともあった」と苦しい表情を浮かべた。

 大西さんは最後に「戦争は絶対にしてはいけない。この思いをどうか、親から子に伝えていってほしい」と参加者に語り掛けた。

 家族3人で参加した伊佐真麻さん(9)=那覇市=は「戦争はこわい。体験を伝えることが、戦争が起こらないことにつながると思う」と話した。父・真悟さん(46)は「戦争体験者から直接話を聞く場も少ない。子どもにとってもいい機会になった」と述べた。