娘思う父の手紙も 安里積千代さん家族が遺稿集 三十三回忌 記念に発刊


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「偲草・父安里積千代三三回忌記念」を手にする次女の大城光代さん=4日、那覇市泉崎の琉球新報社

 立法院議員や衆院議員を務めた元社大党委員長の故安里積千代さん(1903~1986)の手紙や遺稿などをまとめた著書「偲草・父安里積千代三三回忌記念」を、長女の宮良百恵さん(87)と次女の大城光代さん(85)が4日までに発刊した。安里さんの手紙をまとめて紹介するのは初めて。発刊は200部。非売品ではがきで申し込みの手続きをした希望者に配布する。

 次女の大城さんが学生時代や司法試験を受験する際、安里さんから届いた手紙には、娘を思いやる父の姿がうかがえる。大城さんが司法試験に合格した際は「三回受けたこと、そしてついに目的を達したことが嬉(うれ)しいのだ。父としてはその頑張りを讃(たた)えたいのだ。志す人は多い。しかし最後まで頑張り通すのが難しいのだ」と喜びを表している。

 同書では、政治活動で出張した米国からの手紙や晩年の手紙も紹介している。1985年、病気療養中に大城さんへ書いた最後の手紙では、弁護士会退会手続きを終えたことなどを報告し、「数日中には退院できるので御心配いりません」と家族を気遣う文面となっている。

 4日、那覇市泉崎の琉球新報社を訪れて同書を紹介した大城さんは「父の三十三回忌をどのようにするか考えた。政治家としてではなく、人の親としての安里積千代を紹介したかった」と語った。

 同書の希望者は、はがきに住所、氏名、電話番号を記し「安里積千代さんへの一言」を書き添え申し込める。宛先は〒900―0013、那覇市牧志2の3の7 大城光代