沖縄カキ養殖開始、19年6月にも出荷 


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カキの養殖事業を本格的に開始する沖縄県の石川漁業協同組合の若津武徳組合長=うるま市石川

 沖縄県の石川漁業協同組合(若津武徳組合長)がカキの養殖事業を始めている。沖縄本島北部の金武湾北部に自生しているカキを養殖して来年6月に出荷する計画で、地域の新たなブランドの確立を視野に入れている。試験養殖でカキの収穫に成功しており、関係者による試食も行って安全性を確認した。同漁協は「地域の宝物をしっかりと育てて、水産業の発展にもつなげたい」と期待している。

 石川漁協は県外の養殖業者や専門家らと共同で研究会を設立して、カキ養殖の事業化に向けて準備を進めてきた。金武湾北部には商用的に価値のあるポルトガルガキなどが自生しており、昨年8月に試験養殖に必要なカキの幼生を採取した。幼生を育成し、今年6月に収穫すると6・5センチほどの大きさまで成長していた。収穫したカキに殺菌などを施し、関係者が試食して事業化ができることを確認した。試験養殖したカキを試食した若津組合長は「生でも食べられておいしかった」と振り返った。

 本格的な養殖事業は8月から始めており、すでに幼生の採取などを実施している。沖合の養殖場での育成などを経て、来年6月に収穫する予定となっている。公的機関での検査など出荷に必要な基準をクリアしていることを確認し、殺菌など必要な手続きを済ませて市場に送り出す。来年の収穫量は1万~1万5千個となる見通しで、8センチほどの大きさに成長させることを目指している。

 6月に収穫することで台風の被害を避けられるほか、カキの出荷がピークを迎える冬場と時期がずれるため市場の需要を取り込むことも期待できる。養殖事業を行いながら、良質なカキを収穫するための研究も進めていくという。

 カキ養殖に携わるバイオジェットの安里積秀氏は「最初はカキが自生していることも信じられなかったが、試験養殖を実施することで事業化できると確信した。地域のブランドを確立する手伝いをしたい」と話した。若津組合長は「カキの養殖事業を進めることで若手漁業者も育成し、漁業に携わる人を増やせるようにしたい」と強調した。