社会

台風24号 沖縄直撃 記録的暴風に混乱

 大型で非常に強い台風24号が直撃した29日の沖縄地方。暴風で民家の屋根が吹き飛んだり、店舗の看板をなぎ倒したり、自動車やプレハブ小屋を横転させたりするなど各地で甚大な被害を及ぼした。県内各地で発生した停電で信号機が作動しなくなる事態も生じ、県民生活は終日混乱した。倒木や冠水も相次いだ。海・空の便、バス、モノレールなどは全便が欠航・運休し、県民に加え、多くの観光客も足止めを食らった。

<南部>奥武島 高波で浸水 柵倒壊、倒木が道ふさぐ

 【南部】南部地域では高潮や倒木、暴風で物が飛ばされる被害が各地で確認された。南城市奥武島では29日午前、奥武漁港に係留していた小型船やボートが転覆したり流されたりしたほか、高波が陸地まで押し寄せ道路などが浸水した。

 奥武島で農業を営む嶺井幸光さん(72)は「堤防から約200メートル離れているのに玄関まで何度も波が押し寄せてきた。目の前の通りでは波で車が5台ほど浮いていた」と話した。

 南風原町の南風原中学校では、運動場のフェンスが暴風で転倒し、町職員が固定作業に追われた。豊見城市のゆたか小学校前では、暴風で折れた街路樹が車道をふさぎ、豊見城市消防本部の消防隊員らが電気ノコギリなどを使い撤去した。

 南城市玉城富里では、保護司の神谷常角さん(68)が所有する高さ約2メートル30センチ、横幅約5メートルのプレハブ小屋が強風であおられ、逆になって車道上に転倒した。神谷さんは「こんな経験は初めてだ」と困った表情を見せた。


強風で倒れ、歩道を封鎖する看板=浦添市牧港

<那覇・浦添>サイレン 鳴り響く 外壁・看板落ち 人通り消える

 【那覇・浦添】那覇市では、ビルの外壁が剝がれ落ちたり、倒れた木が道路をふさいだりした。観光名所となっている国際通りなど普段人通りの多い場所から、人影が消え、消防車両のサイレンが響いた。浦添市では、飲食店の看板が倒れるなどした。

 那覇市の公設市場周辺のアーケードが広範囲にまたがって剝がれ、雨風が入り込んだ。市場本通りのおみやげ店で働く新城槙子さんは「8年、ここで働いているが、こんな大きさの破れ方は初めて。早めに直してほしい」と不安げに話した。

 久茂地にある立体駐車場の外壁が高さ約10メートル、幅約5メートルにわたって剝がれ落ち、駐車する車が外から見える状態になった。国道58号に面した高さ約20メートルの松山のビルでは、壁の一部が車道に落下したが、けが人はなかった。


台風で傾いたり倒れたりした可動式の柵=29日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

<北部>屋根飛び震える住民 室内で発電機 一酸化中毒も

 【北部】本島北部の各市町村では29日、強風で民家の屋根が吹き飛んだほか、柵などの設置物や自動販売機などの倒壊が相次いだ。大宜味村では停電中に室内で発電機を使った子ども2人を含む5人が吐き気などを訴え、救急搬送された。一酸化炭素中毒とみられる。国頭消防によると、命に別条はない。名護市で床上床下浸水が5件あった。

 名護市や国頭村、伊江村などでは、強風で家屋の屋根が破損する被害が出た。国頭村半地の平野ノリ子さん(68)宅は、トタン屋根が飛ばされ柱も崩れた。屋根が窓ガラスを突き破り、室内まで入り込んだ。平野さんは「こんなに強い台風だと思わず、驚いた」と震わせた。

 宜野座村漢那では、金武地区清掃センターの全長約10メートルの煙突が折れ、付近の地面に落下した。名護市辺野古の米軍キャンプシュワブのゲート付近に設置されていた可動式の柵も大破した。強風を受け、金属製の骨組みがばらばらに崩れ倒れた。

<中部>うるま中心に停電 自家発電で営業店舗も

 【中部】本島中部では29日午前の満潮時に大規模な冠水が発生した。宜野湾市では銀行支店のガラスが割れるなど被害が相次いだ。うるま市を中心に停電も多く、風雨が弱まりつつある夜も多くの市民が不安な夜を過ごした。

 沖縄市泡瀬では午前9時ごろ、幹線道路を中心に冠水が発生した。たまった水で路面の確認が難しく、しぶきが上がらないよう配慮も合わせてか速度を落として走る車両が目立った。

 多くの停電が発生したうるま市。信号機も点灯せず、あるコンビニエンスストアは発電機を店外で回して、営業を継続した。乳幼児がいるという、とび職男性(25)は「営業してくれるのは助かる」と食料や水を買い求めていた。

 9カ月の息子と沖縄市役所に避難した平良真澄さん(22)=市越来=は「自宅はどうなっているか心配だ」と不安げだった。

<宮古>被害少なく「安心」 市民、片付け追われる

 【宮古島】29日未明から朝にかけて台風が接近した宮古島市では、市内各地で停電や倒木、強風でサトウキビが倒されるなどの被害があった。台風によるけが人はいなかった。同日午後3時過ぎには暴風警報が解除され、市民らは飛び散った木の枝や葉、ごみなどの後片付け作業に追われた。

 市城辺の国道390号で街路樹が倒れ、民家の塀を一部破損する被害があったほか、一部地域では停電の影響で信号機が点灯しない状況も見られたが大きな混乱はなかった。

 市城辺の畑で片付けをしていた60代男性は「思ったより被害がなかったので、ほっとした」と話した。