國吉(沖水)が無安打無得点 直球軸に凡打の山築く 沖縄県秋季高校野球


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖水―沖尚 7回裏無死一塁、投ゴロを素早くさばき二塁に送球し、併殺に仕留めた沖水の國吉吹(右から2人目)=6日、コザしんきんスタジアム(又吉康秀撮影)

 沖縄水産先発の國吉吹が無安打無得点で沖縄尚学を封じた。19季ぶりの九州出場を懸ける古豪の準決勝。エース左腕・上原一帆との二枚看板で主に継投を担った右腕が、先発を任された大一番だった。「低めが良かった」と自身納得のストレートを軸に凡打の山を築く。安定感とキレを買い、準々決勝に続き先発起用した上原忠監督を「ここまで成長するとは」と驚かせた快投だった。

 先発の過半が左打ちの沖尚打線も「苦にしなかった」。ストレートを内外にしっかりと投げ分けた。ボールが高めに浮いていたことから、夏の中央新人大会以降、リリースポイントを従来より前に置き「低めを意識した」投球が結実。3四球などを許したものの、107球を投げ抜いた準完全の快挙に、「疲れました」とはにかんだ。

 久米島西中出身で、高校での準完全は初。「終わってから仲間に(無安打無得点と)言われて知り、うれしかった」。上原監督は「未知の球数で、いつ(上原一に)代えるかが一番難しかった」と悩んだが、「流れを変えない」との采配が吉と出た。

 打撃ではゼロ行進の神経戦から、九回に三木健正のスクイズによる1点で勝つ勝負強さも発揮した。沖水伝統の復刻したセーラー姿がはねた観客席を背に、指揮官は「本当に行きたかった九州。お待たせしました」とひと息ついた。興南との決勝へ、三木は「しっかり野手全員で打って、投手を助けたい」と覚悟を示した。

 (石井恭子)