〝裸の大将〟、亀甲墓描いた幻のペン画見つかる 山下清、60年来沖時作品か 11日間沖縄滞在、博物館、料亭など訪れる


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山下清の作品「那覇の墓」(1960年か)

 放浪の画家として映画やテレビドラマにもなった山下清(1922~71年)が、60年4月に沖縄を訪れた時に描いたと思われる亀甲墓のペン画がこのほど見つかった。このほど東京で入手した画廊サエラ(那覇市上之屋)代表の松岡勇さんは「沖縄をモチーフにしたペン画の実物は初めて見た。美術品というよりも、貴重品だと思う」と驚いた様子で語った。

 60年に来沖した際は、那覇市内で山下清展が開催され、11日間滞在した。当時の琉球新報によると、首里にあった博物館や料亭など各地を訪れている。

 山下は生前多くのペン画やちぎり絵を残しており、沖縄滞在中もスケッチをしたと思われるが、松岡さんが知る沖縄をモチーフにした作品は、守礼門のペン画とちぎり絵だけという。

 風光明媚(めいび)な観光地などではなく、墓を題材にしている点に感銘を受けたとし「亀甲墓の由来(母親の子宮をモチーフにしていること)を聞いて、母親への思いがあったのではないか。絵から優しさや温かみを感じる」と語る。

 亀甲墓のペン画は色紙に書かれており、右上に「那覇の墓 山下清」と直筆で書かれている。

 印鑑の押印がないことから「頒布用ではなく、純粋に亀甲墓に関心があってスケッチしたものではないか」と松岡さんは推測している。

 問い合わせは画廊サエラ(電話)098(863)0727。 (知花亜美)