「諦めず対抗手段」 玉城知事、投入続く辺野古視察


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記者団の取材に答える玉城デニー知事=15日、名護市辺野古の辺野古漁港

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、沖縄防衛局は15日、前日に続き、米軍キャンプ・シュワブがある辺野古崎の埋め立て予定区域に土砂を投入した。14日に船で運び入れた土砂は使い切ったため、投入はいったん中断した。玉城デニー知事は辺野古の土砂投入現場を視察し「県として取り得る対抗手段はしっかり講じていく」と記者団に語った。シュワブゲート前での抗議集会にも参加し「国の暴挙に対し、本当の民主主義を求めていく。対話は継続するが、対抗すべき時は対抗する。絶対に諦めない」と強調した。

 シュワブに接続するK9護岸では、複数のダンプが台船に積まれた土砂を運び出し、埋め立て予定区域に次々投入した。最初に積まれた土砂が台船からなくなると、台船は護岸を離れ、近くに停泊中の運搬船1隻に積まれた土砂を積み込んだ。土砂がなくなったため、この日の作業を中止。政府は土砂の到着を待って投入を再開するとみられ、週明け以降、作業を加速させる方針だ。

午前中で運搬船2隻分の土砂が投入された米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=15日午後、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 この日、投入された土砂は、名護市安和の琉球セメントの桟橋から搬出されたもの。沖縄防衛局は赤土等流出防止条例に基づいた必要な手続を経ないまま、この土砂を搬出し、県から指導を受けている。

 玉城知事は抗議集会で集まった市民らを前に「耐え難い日を迎えねばならなかった。しかし、われわれが打つべき手は必ずある。できることは必ず全力で取り組んでいく。われわれの闘いは止まらない」と訴えた。

 集会後、玉城知事は辺野古漁港の岸壁から土砂投入の作業を確認した。記者団の取材に「現場に来ると、この異様さに胸をかきむしられるような気持ちにさせられる」と不快感を示した。岩屋毅防衛相が、早ければ2022年度とされる普天間飛行場の返還は困難との認識を示したことについては「いつになったら普天間は返るのか。民主主義国家として、とても認められることではない」と反発した。

 この日、シュワブゲートから資材搬入はなかった。

知事一問一答

 名護市辺野古の新基地建設現場を視察した玉城デニー知事と記者団のやりとりは次の通り。

 ―現場を視察してどう感じるか。拝所(うがんじゅ)で何を願ったのか。

 「胸をかきむしられる。われわれはたじろぐことも退くこともない。原状回復させるまで、政府に対して民主主義国家としてあるべき姿を求める。県民と共に取り組んでいく気持ちを新たにした。『平和な未来をつくろうとする県民に力を与えてください』と祈った」

 ―あいさつで『対話する気持ちは継続するが、対抗すべき時には対抗していく』という発言があったが、決めた方針はあるのか。

 「『辺野古が唯一』というデッドロックに乗り上げた計画ではなく、専門家も交えて対話で解決したいと言い続けている。土砂投入は違法な行為だ。われわれは法に則して一連の取るべき手だてを講じている。県として取り得る対抗手段はしっかり講じていく」

 ―岩屋毅防衛相が早ければ2022年度とされる普天間飛行場返還について困難だと発言したが、土砂投入当日のこの発言をどう考えるか。

 「始める前は都合のいいことを言い、始まったら塗りつぶすのが政府の手法だ。辺野古区の住民に個別補償ができるかもしれないと言って後になってできないと翻したのと同じだ。政府は国民をだまし続けている。普天間飛行場の危険性除去が第一のはずだ。政府は『辺野古が唯一』という言い訳を立て違法なことをしている。政府の失態をさらした発言だ。憤りを感じる」