全日本レスリング グレコ77キロ級・屋比久 圧勝で3位


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 レスリングの全日本選手権第3日は22日、東京・駒沢体育館で行い、男子グレコローマンスタイル77キロ級3位決定戦で屋比久翔平(浦添工高―日体大、日体大大学院、ALSOK)が下山田(日体大)を下して3位に入った。女子57キロ級は五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)、リオデジャネイロ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)が23日の決勝へ進出した。1次リーグB組初戦では川井梨が伊調に2―1で競り勝った。女子50キロ級は昨年覇者の入江ゆき(自衛隊)が準決勝でリオ五輪48キロ級金メダルの登坂絵莉(東新住建)を破り、決勝へ進んだ。同53キロ級は世界選手権55キロ級女王の向田真優が決勝進出。男子フリースタイル65キロ級は世界王者の乙黒拓斗(山梨学院大)が決勝に進んだ。

◇笑顔なく、東京へ覚悟

グレコローマンスタイル77キロ級3位決定戦 終始攻め続けテクニカルフォールで勝利した屋比久翔平(ALSOK、日本体育大大学院、青)=22日、東京都の駒沢体育館

 21日のグレコローマンスタイル77キロ級準決勝、屋比久翔平(ALSOK、日本体育大大学院)は国内選手に約3年ぶりに苦杯をなめた。22日の3位決定戦は、その嫌なイメージを払拭するようなテクニカルフォールで勝ちきった。圧倒的な勝利だったが、4連覇を逃した「王者」の表情には喜びはなかった。「相手は大学の後輩だったので先輩として負けられなかった。自分のやりたいレスリングはできなかった」。大会を通し、言いようのない悔しさが屋比久を包んだ。

 3位決定戦は序盤から優位に組むと相手がパッシブを受けて先制。パーテレポジションから4度のローリングで立て続けに得点を奪った。

 今大会、結果だけを見ると、圧勝した試合もあったが、得意のリフトからの得点がなく、一度も相手を持ち上げたポイントもなかった。世界で戦う日本王者として、周囲に研究され、得意技が簡単には発揮できなくなっている。「(実力が)現状維持しているだけ。減量で力が落ちてたのかもしれないが、体力がない中でもしっかり自分の技につなげたい」。

 今大会の優勝を逃したことで、来年の全日本選手権優勝が東京五輪出場の必須条件となった。その先にあるプレーオフで勝利し、世界選手権代表となり、世界舞台でメダルを獲得することが東京への最短距離だ。

 年末年始も沖縄へは帰らず、合宿で己を鍛え直す。「このままじゃオリンピックだけではなく国内でも勝てない。『やっぱり俺が強い』と言えるようにしたい」と準決勝敗戦直後の言葉からも覚悟が見えた。悔しさを糧に、一から日本の頂点、そして世界を目指す。

 (屋嘉部長将)

◇金城、積極的な攻め カウンターくらい敗戦

フリースタイル65キロ級1回戦 積極的に攻め込む金城希龍(自衛隊体育学校、青)

 男子フリー65キロ級の金城希龍(自衛隊体育学校)は大会シードの米澤圭(早稲田大)に積極的に仕掛けるも、カウンターで得点を取られて敗れた。昨年の大会の準決勝に続き、難敵に沈んだ。金城は「しっかりキャッチしたところでポイントを取り切れなかった」と悔しがった。

 金城は長い手足を生かして、積極的に攻めた。しかし、足を取りにいったところをカウンターでタックルを決められた。その後、足首をつかむ場面もあったが、最後まで得点を決めることができなかった。

 自分から積極的に攻め、実力差が縮んでいることは実感する。あとは得点を決めきるだけだ。「攻めの部分では間違ってはいない。しっかり最後までポイントを取りきりたい」。見えた課題を胸に、来年の全国選手権大会を見据える。