【うるま】購入から半世紀を超え、さび付いて動かなくなっていた足踏みミシンが、専門家の修理でこのほど復活した。ミシンは沖縄県うるま市高江洲の上原政英さん(83)が所有しているもので、上原さんは「電気がなくても、時間がたってもまた使えるようになる。昔の工業製品の素晴らしさだ」と話し、これからも大切にしていく考えだ。
ミシンは上原さんの妻・和子さん(83)が1962年に結婚した際、嫁入り道具として持ってきて以来、大切に使い続けてきた。2003年に新居に移って以降、使用することが減っていた。15年5月、上原さんは本紙で那覇市の中屋総合ミシン店が古いミシンの修理を手掛けているとの記事を読んだ。「いつか修理をお願いしたい」と紙面を切り抜いたが紛失。その後、切り抜きが見つかり、同店の棚原弘明さん(78)に依頼した。
上原さんの自宅を訪れた棚原さんは、シンガー社製のミシンを分解し、ベルトやさびたボビンケースなどを取り換え、3時間ほどで再び使用できるようになった。
棚原さんの店には、旧式のミシンの修理依頼が年間50件ほどある。丁寧に油を差した棚原さんは「古い機械はやはりかわいい。家で使うスペースがあるのであれば、直線縫い専用として十分使える」と話した。
若い頃、アルバイトで工業用ミシンを使っていた上原さんは早速、袋などを縫った。「大切にしたら長年使えることなどを多くの人に知ってもらいたい」と話した。