政治

ハンスト、窮地を打開 若者の決意が政治動かす

3択を容認する声明を発表した「辺野古」県民投票の会の元山仁士郎代表(中)=21日、那覇市

 「条例の改正はさまざまな課題があり、難しい」。玉城デニー知事は11日の記者会見で県民投票条例の改正を見送ることを一度は発表していた。

 条例を改正しなければ選択肢を増やしたり、県が5市の事務を代行したりすることはできない。投開票事務を拒否する5市長と県の協議は平行線をたどっており、このままでは全県の有権者の3割が投票できない。記者から「参加しない自治体が出ても2月24日で実施するのか」と問われると、玉城知事は「それを与党と確認したところだ」とこわばった表情で答えた。

 「われわれを置き去りにしないでほしい」「全県で実施しなければ県の責任になる」。市長が事務を実施しないことに抗議するハンガーストライキを始めた「辺野古」県民投票の会の元山仁士郎代表の行動に呼応するように、謝花喜一郎副知事の下にも全県実施を求める声が寄せられていた。17日、謝花副知事は面談した市民らに「若者にここまでさせてしまった」と感極まった様子で語り、ハンストの影響で前週までと状況が異なってきたとの認識を示した。そして「このまま条例改正せずにいいのかという思いもある」と打ち明けた。

 実はこの時、謝花副知事の下には公明党県本の金城勉代表から、選択肢の3択への修正で全会一致に協力するとの要請がもたらされていた。16日には県民投票参加に難色を示すうるま市の島袋俊夫市長が、県市長会の会長として「可能な限り幅広く柔軟な対応を求める」と県知事と県議会議長に宛てた声明を発表。投票実施に向けた出口を探ろうとするメッセージには首長側の変化を感じさせた。

 公明の金城代表は「辺野古」県民投票の会の幹部にも条例改正を打診していた。謝花副知事に相談した県民投票の会幹部に(1)公明が了承する(2)公明が自民に働き掛ける(3)5市長の投票実施の確約がとれる―が担保できれば検討するとの玉城知事の回答が伝えられるなど、事態は水面下で急速な動きを見せていた。

 公明から同様に要請を受けた県議会の新里米吉議長は18日、行政視察で県庁を離れていた玉城知事に「与野党の調整に動く」と電話で伝えた。だが、社民・社大・結、会派おきなわの与党2会派は「5市長の責任があいまいになる」と議長が提案する3択案に猛反発、調整は冒頭で立ち止まった。

 与党で激しい議論が交わされる中で玉城知事は、県としても条例改正に進むかどうか、二つの条件を確認する必要があると指示を出す。賛否2択で条例制定を請求した「辺野古」県民投票の会の意思と、5市長の投票実施の意向だった。

 これを受け、県民投票の会は21日夜に緊急会合を開いた。会合後、元山代表は「全市町村で実施するために柔軟な対応が必要となっている」と、3択を容認する姿勢を打ち出した。

 県では謝花副知事が5市長と電話で連絡を取り合い、期待にも近い前向きな感触を得ていた。

 3択案に対する与党会派の反発で手詰まり感が強まっていた22日夜、ある与党県議の携帯に玉城知事からメッセージが届いた。「県民投票は必ず全県実施します。元山君の動きが市民を動かしました」―。

 翌23日午前、選択肢の見直しにより全県実施を目指す立場へとかじを切った玉城知事は、自ら与党代表者らに連絡を取り「私の責任でやらせてほしい」と3択への支持を取り付ける。与党3会派が急転直下、一致したことで、新里議長は各派代表者会議の24日招集に瀬戸際でこぎつけた。(中村万里子、与那嶺松一郎)









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