玉城デニー知事が明かす〝ドアの向こう側〟 キリスト教学院大で学生と未来議論


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講演をする玉城デニー知事=1月31日、沖縄キリスト教学院大学シャローム会館

 足踏みと手拍子、「We Will Rock You」の曲とともに登場したのは玉城デニー知事。腕を挙げ、満面の笑みの玉城知事を、教室を埋めた学生らが拍手と歓声で迎えた。

 1月31日、沖縄キリスト教学院大・英語コミュニケーション学科の授業に玉城知事が登場した。当日の内容は学生会など有志の学生らが練り上げ、進行も担当した。知事自身の要望もあり時間の大半は会場との質疑に当てられ、「自分にできること」を軸に沖縄の未来について率直に話し合った。「誰かと相談してもいい。自分で考え、民主主義の権利を大切にして」と呼び掛ける玉城知事に、ほとんどの学生が「県民投票に行く」と応えた。

 前半の講演で玉城知事は、廃藩置県以降の沖縄の歴史を簡単に説明し「この間に知事は43人いるが、選挙で選ばれたのは復帰以降の8人だけ」とし、民主主義に基づく選挙が県民にとって当たり前でなかったことを伝えた。

 また自身が生まれた1959年以降については、生い立ちや政治家になるまでの過程を語りながら沖縄社会の変化を説明し、辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票の意義を語った。

 学生からは「学生時代に夢中になったことは」「働きながら学ぶ学生への支援は」「平和と言葉の継承をどう考えるか」など質問が続々と出された。玉城知事は自身の体験を織り交ぜ、しまくとぅばも使って率直な思いや県の施策を語った。

 「首相との会談は実際にはどんな雰囲気か」との質問には「核心を突いた質問」と笑いながら「記者や職員もいない2人だけになると腹を割って話す。政治家用語ではない自分の言葉も出る」と“ドアの向こう側”を明かした。最後には知事を含めて全員が「未来の沖縄のためにできること」を色紙に書き、学生がかき鳴らす三線に合わせてカチャーシーで締めた。

 学生会の仲程未希さん(2年)は「聞きたい質問を聞けた。直接話すことで政治と生活は別じゃないと改めて感じた」と手応えをつかんだ。運営に奔走した国仲梨月さんは「来てくれた人が聞きやすい環境をつくろうと必死で、話はあまり聞けなかった」と苦笑しながら「知事の言葉は分かりやすかった。みんなが準備したものを知事が盛り上げてくれ、千%の出来になった」と達成感をかみしめた。