フェイクニュースどう見分ける? 私たちにできるファクトチェックは? 大学生が考えた「#みんなごと」


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 若者が県知事選に主体的に参加しようと取り組んだ琉球新報の企画「VOTE! #みんなごと」の続編として12日、沖縄キリスト教学院大でファクトチェック講座が開かれました。本当かどうか分からない情報は学生の回りにもあふれています。県民投票を前に「フェイクの見分け方を知りたい」という学生たちに、琉球新報でファクトチェック報道を行う記者が取材の裏側を伝え、学生たちは自分にできるファクトチェックを考えました。

実際にファクトチェックをした感想を述べる学生たち=12日、西原町の沖縄キリスト教学院大

 学生たちはまず、手元のスマホで普段目にする“フェイクニュース”を書き出しました。「これってフェイクかな」「もっとあったはずだけど記録してないから探せない」。真偽不明の雑多な情報が学生たちの回りにあふれ、日々流れていることが分かります。

 ここで取材班の池田哲平記者、安富智希記者が登場し、琉球新報が力を入れるファクトチェック報道の裏側を説明しました。あふれる情報からフェイクニュースを区別し、検証するものを選び出すのに悩むのは学生と同じ。まず主張や意見は除いて、「偽情報」「誤情報」「不正確・ミスリーディングな情報」「根拠のない情報」に分類し、当事者に尋ねたり、資料を見直したり、一つずつ検証した経緯を話しました。

 偽情報や偏った意見を発信をする人は実際には多くないが、発信数が多いため「みんな」に見えること。ネット上は考えが似た人が集まりやすく、仲間内で同じ意見が重なるとうそでも本当らしく感じてしまう「エコーチェンバー(共鳴箱)」という現象が生じやすいこと。「そんな仕組みを知れば、間違いや偏りに気付きやすくなる」との説明に、学生たちはうなずき、メモを取って熱心に聞き入りました。

 その後、学生たちは自分たちが挙げた情報を「県民投票」「基地問題」「基地反対運動」と大きく分け、どうすればフェイクニュースにだまされないか、できることを考えました。

講座に参加し、フェイクニュースに惑わされないよう自分にできることを考えた学生ら=12日、西原町の沖縄キリスト教学院大

 講座を終えて「フェイクニュースを気にしないようにしてきたのは自分に反論する力がないからだと気付いた。真実を確かめる力をつけたい」と知念ゆかりさん(3年)。伊佐奈那子さん(同)は「仕組みや事実を知らないから振り回される。自分たちの勉強不足でもあるけど分かりやすい情報を出してほしい」と新聞社へのリクエストもあり、記者たちは「自分たちの課題」と受け止めました。

県民投票って?  新基地賛否 民意示す機会

 世界一危険といわれる米軍普天間飛行場を移設するためとして、名護市辺野古に新しい基地を造る埋め立て工事が始まっています。この埋め立てをどう思うか、県民の意思を示し、工事を行う国に伝えるための投票です。

 「賛成」「反対」「どちらでもない」のどれかを選んで「○」を付けます。今月13日時点で18歳以上の県民が投票でき、市町村選挙管理委員会が指定する投票場所で投票します。投票日は24日ですが、15日から期日前投票ができます。

 16、17日の週末には、この問題を考えるさまざまなシンポジウムや音楽祭が開かれます。県が作った県民投票の公式サイトに詳しい情報があります。

 担当教員から一言 
能動的アクターたれ

 キリ学大・玉城直美准教授の話 フェイクに打ち勝つ力をつけて、フェイクを拡散しない、大切なことを発信するなど、能動的なアクターになろう。