「沖縄にすごい少年力士がいる」横綱白鵬が見初めた期待の新星・當眞嗣斗 宮城野部屋へ


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白鵬杯優勝祝賀会で堂々とした土俵入りを見せた當眞嗣斗(2013年4月6日)

 大相撲の横綱白鵬が所属する宮城野部屋への入門が決まった當眞嗣斗(18)=那覇市立曙小―浦添中―鳥取城北高校3年=は、小学6年生の時、横綱白鵬が主催する少年力士の世界大会「白鵬杯」への招待を受けた。沖縄にすごい少年力士がいる、といううわさを聞きつけた白鵬が自ら沖縄後援会を通して探し出したという。この白鵬杯でチャンピオンに輝いて以降、當眞は白鵬と連絡を取り合い交流を続けてきた。

 17日、鳥取市の鳥取城北高校で行われた入門記者発表では、出席した白鵬から「小学生の頃から見初めていた、一日も早く関取になれるよう育てていきたい」と期待の言葉が贈られた。白鵬は當眞のしこ名を沖縄出身とアピールできるものにしたい、と親方と一緒に考案中だという。

 當眞は「相撲するなら毎日おなかいっぱい食べていいよ」と父親の嗣有さん(64)に言われ、6歳で相撲を始めた。小学生の全国大会では規格外の大きな体を生かし6連覇、わんぱく横綱として全国に知られた。中学でも全国優勝を果たし「もっと強くなりたい」と、沖縄を離れ大相撲の力士を多く輩出している鳥取県の強豪高校に進学した。

 高校でも全国優勝を果たしたが、中高ともに団体の部での優勝で、個人では日本一に届かず悔しい思いをしてきた。「まだまだ自分は強くなる、プロの世界で稽古して力を付けたい」と入門が決まり、改めて厳しい世界で戦っていく覚悟を示す。

宮城野部屋への入門会見で笑顔を見せる横綱白鵬と當眞嗣斗(右端)。角界での活躍に期待する父の嗣有さん(左から2人目)ら家族=17日、鳥取市の鳥取城北高校

 親元を離れた3年間相撲にまい進し、心も体もひと回り以上大きくなった。これまで二人三脚で大相撲への夢を追い掛けてきた父の嗣有さんは「やっとという気持ちと寂しさが同時にやってきた。これから先は地獄を味わってでも土俵にかじりついて頑張ってほしい」とエールを送る。

 宮城野部屋には2月中に合流し、卒業式を終え大阪場所で新弟子検査を受ける予定だ。當眞は「一日でも長く相撲が取れるように、沖縄の人に自分の活躍が届くように恩返しがしたい。強くなって番付を上げて、両親を少しでも楽にしてあげたい。立派になって沖縄に帰って来たい」と覚悟を語る。大きな体に闘志を燃やし、夢の土俵へ上がる。
 (高辻浩之)