米軍パイロットの飲酒は日本の法律で裁くことができない―。今月8日の衆院外務委員会で、航空法の条文の多くが米軍に適用されない問題が取り上げられた。日米地位協定に基づく航空法の特例法で適用が除外されているためだ。質問した希望の党の井上一徳政調会長が航空法を適用するよう米側との協議を求めたのに対し、外務省の担当者は「米軍も公共の安全に妥当な考慮を払って飛行を行っている」などと述べ、消極姿勢を示した。
航空法では酒や薬品の影響の残る状態での運航を認めないことや最低安全高度の順守、粗暴な操縦や宙返り・曲技飛行の禁止などを規定する。だがこれらを含む同法第6章のほとんどの条文は、航空法の特例法によって米軍機には適用されない。こうした適用除外は自衛隊にもあるが、米軍に比べると除外項目は少なく、しかも防衛出動などの特別な場合に限っている。
8日の衆院外務委で、井上氏は「アルコールを飲んではいけないという当たり前の規定が、自衛隊には適用されるが米軍には適用されない」と指摘。県内で発生した米軍ヘリからの部品落下事故にも言及し「危険な飛行をしては駄目だということを米側に認識させるためにも航空法を適用させるべきだ」と問題視した。
これに対し、河野太郎外相は「地位協定に関するさまざまな問題については政府として最も効果的かつ機動的に対応できる方法で対応したい」と具体的な言及は避けた。
(當山幸都)