生息精査、国に求める 漁協、保護団体 ジュゴンの痛々しい姿に「残念」


この記事を書いた人 大森 茂夫
今帰仁村の運天漁港に陸揚げされたジュゴンの死骸=19日

 【今帰仁】ジュゴンの死骸が漂着して一夜明けた19日、死骸が保管されている今帰仁村の運天漁港には漁業関係者をはじめ村や県の担当者、研究者らが集まり、ジュゴンの様子を確認した。漁港に集まった人たちからは「残念だ」などの声が上がった。ジュゴンの保護に取り組んできた環境保護団体からは、国に沖縄近海のジュゴンの調査を求める声もあった。

 ジュゴンは18日夕方の漂着後、漁協関係者らの手で冷蔵されていた。19日正午ごろ、関係者や報道陣などに公開された死骸のジュゴンは皮膚が傷つき、出血もある痛々しい姿をあらわにした。作業を見守っていた50代男性漁師は「(ジュゴンは)映像では見ただけだった。残念だ」と肩を落とした。今帰仁漁協の與那嶺好和組合長は沖縄防衛局の調査で、沖縄近海では3頭しかジュゴンが確認されていないことに触れて「もっとジュゴンはいるのではないか」と語った。

 ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局長も死骸を確認した。死骸を見る限りでは死につながるような傷などは確認できなかったという。「唯一子育てが確認されていたジュゴンで、死はかなりの痛手だ」と嘆いた。北限のジュゴン調査チーム・ザンの鈴木雅子代表はジュゴンの死を聞き涙した。「ジュゴンが住める海をつくるために頑張らないといけない。市民の調査では限界もあり、国の抜本的調査が必要だ」と強調した。