不安定身分 重い負担 家庭相談員非正規雇用 業務増え「児相化」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「虐待や発達課題のある児童の相談が増え、負担が大きい」「欠員を埋めようにも後任が見つからない」「小さな離島では、専門性のある人材を確保できない」―。琉球新報が実施した県内市町村への調査では、虐待相談の最前線で不安定な身分のまま負担の重い業務を強いられている家庭相談員や、後任探しに苦慮する市町村の姿が浮かび上がった。

 2004年の児童福祉法の改正で、市町村の相談業務に児童虐待の相談などが加わった。ある自治体の家庭相談員は「本当にハードな仕事で毎日、毎日、追い詰められている感じ。『子どもたちのため』という福祉の精神で何とか業務に当たっているが、相談員の入れ替わりも激しい。メンタル的に休みを取る人も多い」とため息をつく。勤務時間は週30時間内の規定だが、「ケースによっては正職員と同じようにフルタイムで働いているが、残業代もつかない。契約も1年更新で本当に不安定だ」と窮状を訴えた。

 県内11市の相談員らで組織する県家庭相談員連絡協議会によると、全国家庭相談員連絡協議会が毎年、国に身分の改善を求めているが、変わらないという。

 ある市の担当者は「当初は子育ての悩みや相談だったが、今は児相に通告すべきケースか判断するために家庭訪問もしなければならない」と話し、「市町村の窓口は『ミニ児相化』している」と強調する。別の市の職員は「児童福祉法の改正で家庭相談員に求められる知識や負担が増し、現場を離れる職員が増えた。後任を探そうにも応募がない」と打ち明ける。

 離島の小規模自治体では、専門性のある人材の確保が課題になっている。中には、保健師が虐待からDV、母子保健までを兼務し、加重負担になっている自治体もあった。職員は「保健師や保育士の引っ張り合いで、離島は悲鳴を上げている」ともらした。
(新垣梨沙、豊浜由紀子)