「次世代を担う実力者」 港川小6年の照屋礼さんがこま技日本一


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 【浦添】浦添市立港川小学校6年の照屋礼さん(11)=浦添市=が、3月下旬に横浜市で開かれた第6回全日本こま技選手権大会の小学生以下の部で初優勝した。大会20日前に利き手の右手首を骨折するアクシデントに見舞われながらも、本番では華麗な技を次々と披露。県内からの優勝は初めてで、「次世代を担う実力者」と大会関係者をうならせた。

利き手を骨折しながらも、全日本こま技選手権大会小学生以下の部で優勝した港川小6年の照屋礼さん。技のレパートリーは数知れない=5日、浦添市港川

 照屋さんがこま回しを始めたのは保育園の頃。師匠はおらず、動画投稿サイト「ユーチューブ」を見て技を盗んでいった。小学校に上がってめきめき腕を上げ、県内初の有段者に。昨秋、全国の小学生で初めて最高位の6段を手にした。

 大会は日本こままわし協会(名古屋市)の主催で、小学生以下の部には全国から37人が出場した。昨年、決勝で敗退した照屋さんにとって、リベンジの舞台。「絶対優勝する」と誓って毎日1時間、練習に励んでいた矢先、転倒して右手首を骨折してしまった。「やべぇ、予選を勝ち上がれるかどうか…」。そんな不安に襲われた。

 本番はギプスを外して臨んだ。「大車輪」「初日の出」などの技を難なく決め、予選を突破した。決勝は4~6段の高難度の技で争われ、一度失敗したら脱落する「サドンデス」方式。司会のくじ引きで挑戦する技が決まる。

 1巡目は耳に掛けたひもで、こまをキャッチする「耳かけ」。決勝進出者12人のうち、4人が成功した。ライバル2人が脱落し、照屋さんは「これでいける」。2巡目は、頭の後ろのひもでこまを往復させる大技「牛若丸」。こまに意識を集中させ、見事、成功させた。他は全員失敗し、照屋さんの優勝が決まった。

 「上りハブ」「発電機」という独自の技も編み出す照屋さん。日本こままわし協会長や「日本独楽(こま)博物館」館長を務める藤田由仁さん(75)は「大人顔負けの実力だ。われわれが考えも付かない技を開発する」と大絶賛。

 けがをものともせずに全国の頂点に立った照屋さんは「来年は(大人が参加する)フリー部門で優勝したい」とギプス姿で笑顔を見せた。

 (真崎裕史)