那覇港に世界最大クルーズ船が停泊できる新バース整備へ 9月にも着工 国交省が那覇港を国際拠点に指定


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海外からのクルーズ船が停泊中の那覇クルーズターミナル=那覇市若狭

 【東京】国土交通省は22日、官民連携で国際クルーズ拠点の整備を進める「国際旅客船拠点形成港湾」に那覇港を指定し、那覇港管理組合へ指定書を交付した。指定を受け、同組合は那覇港新港地区に世界最大の22万トン級の大型クルーズ船が停泊できる水深12メートルの専用バース(岸壁)と、ふ頭用地の整備に取り掛かる。旅客ターミナルは海外大手船社のMSCクルーズ(スイス)、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(米国)が整備し、クルーズ船寄港回数が国内2位となる那覇港のさらなる受け入れ拡大を図る。

石井啓一国土交通相(左)から国際旅客船拠点形成港湾の指定書を交付された那覇港管理組合の田原武文常勤副管理者(中央)=22日、国土交通省

 設計や埋め立てに関する手続きを終え、9月にも着工したい考え。新バース利用開始初年の2022年に108回、30年には205回の寄港を目標とする。事業費は110億円。

 国際クルーズ拠点の形成は、同日追加指定された下関港を合わせ全国で9港目で、県内では平良港、本部港に続いて3例目となる。那覇港管理組合の田原武文常勤副管理者は「日本の南の玄関口としてクルーズ観光の振興に貢献したい」と意気込んだ。

 国交省の推計によると、那覇港のクルーズ船寄港需要は2020年代前半で年間400回が見込まれている。一方、現在の設備で受け入れ可能な隻数は若狭クルーズ船専用岸壁、国際コンテナターミナル合わせて365回にとどまる。

 また、大型船が寄港する国際コンテナターミナルは本来は貨物専用のため旅客用のターミナルがないなど受け入れの課題が多く、早期の新クルーズ岸壁の整備が必要だと判断した。

 官民連携する海外大手船社2社は年間で最大250日を上限に新バースを優先利用できる代わりに、ターミナルビルを造る。

 22日の指定書交付式で石井啓一国交相は「今後とも成長が期待できる港だ。連携を密にして取り組みたい」と話した。田原常勤副管理者は「寄港回数だけでなく、クルーズ船の大型化の需要にも対応できる。官民連携を成功させたい」と意気込んだ。