社会

被害者に被害者は救えない DV父親に事件責任 千葉小4虐待死 識者談話

矢野恵美(被害者学、ジェンダー法)

 千葉県野田市立小4年の女児が1月に自宅浴室で死亡した虐待事件で、父親の被告(41)=傷害致死罪などで起訴=の暴行を制しなかったとして傷害ほう助罪に問われた母親の被告(32)は16日、千葉地裁(小池健治裁判長)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年を求刑し、即日結審した、判決は6月26日。DV被害に詳しい、矢野恵美琉球大法科大学院教授は事件について次のように話している。

 公的機関は、2017年に家族が沖縄県糸満市にいた時点で、父親の女児に対する虐待と、母親に対するドメスティックバイオレンス(DV)があった可能性を把握していた。しかし、児童相談所は女児を一時保護しながらも、父親の圧力に屈して帰宅させた。そのまま保護していれば事件は防げたはずだ。

 検察は母親が虐待を「警察に通報しなかった」と非難するが、子どもを一時保護してもらっても、自分のDVを訴えても、結局は夫の下にいなくてはならない状況の中で、さらにまた通報しろというのだろうか。また、「母親なら、自分の被害を顧みずに子どもを守るべきだ」という考えもやめてほしい。被害者に被害者は救えない。責められるべきは父親だ。

 日本の公的機関には親の権利を重視する風潮がある。その背景には民法に今も残る懲戒権がある。

 しかし、日本が1994年に批准した子どもの権利条約では、その19条で、監護権者から虐待がある時は、国が保護措置を取るとしている。

 何よりもまず子どもの命を優先することを考えてほしい。
 (矢野恵美 被害者学、ジェンダー法)



関連するニュース






  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス







  • 他のサービス