轟の壕、ひめゆり資料館… 沖縄・糸満高校生が戦跡を歩いて追体験


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ひめゆりの塔に向け手を合わせる糸満高校の生徒=7日

 23日の慰霊の日を前に、糸満高校は平和学習の一環として、南部の戦跡や資料館を巡る平和ウオークラリーを毎年実施している。7日、2年生約320人が、轟の壕(カーブヤーガマ)から平和祈念公園までの約10・5キロのコースを歩き、戦時中の市民らの足取りを追体験した。生徒たちは、道路が舗装すらされていなかった戦時中に、厳しい暑さと飢えの中、当時の市民が同じ道を歩いたことを想像しながら74年前の戦争に思いをはせた。

 ウオークラリーは午前9時ごろ糸満高校を出発した。轟の壕、ひめゆりの塔、健児の塔を徒歩で回り、正午ごろ平和祈念公園に到着した。

 ひめゆり平和祈念資料館で高吉ひなさん(16)と冨里かりなさん(16)は「今でも十分きついが、戦争中に舗装されていない道を歩いていたときはもっと大変だったと思う」「実際に歩いてみて当時の状況をより現実的に体験できた」と語った。

 金城林花さん(16)は「改めて平和に感謝する機会になった」と汗を拭った。ひめゆりの塔まで続く緩やかな坂が大変だったという大城日菜子さん(17)は「今もきついけど、当時の人たちはきっと命を守るために必死だったと思う」と話し、友達同士でうなずきあった。

 ウオークラリー後は、平和祈念資料館で長島誠主査による講演があった。生徒たちが事前に学習した内容を交えながら戦争が起こった背景、戦時中の様子、そして近年問題になっている社会的課題について多角的な視点から戦争を考える内容だ。

 講話について長島主査は「戦争をテーマに社会をさまざまな視点で捉えることで、生徒が主体的に学ぶきっかけになることを期待している」と話した。