空手家の元高校教師がマンゴー農家に転身 「農業で人材育成したい」 沖縄・宜野座村の男性が新たな挑戦 


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 強豪の空手道部で県大会優勝、全国8強にも導いた空手家が今春、教員を退職してマンゴー農家に転身した。仲間農園(宜野座村)の景光正明さん(40)だ。県立高校では18年間、家庭科を指導した。本格的な就業体験が生徒の可能性を広げるとの信念の下、自ら農家となって人材育成に取り組む考えだ。「キャリア教育を通じて高校生と共に宜野座村を活性化したい」と意気込む景光さん。学校と地域の橋渡し役として村を盛り上げようと新たな挑戦を始めている。

色づき始めたマンゴーを育てる仲間農園の景光正明さん=6日、宜野座村漢那

 広島県出身の景光さんは進学した徳島文理大学で沖縄出身の友人と出会い、沖縄に深い関心を持って移住。コザ高校や宜野座高校などで教壇に立った。

 コザ高では空手道部の顧問として部活動の指導にも情熱を注いだ。自身も中学2年から空手を始め、全日本選手権や国体に出場。指導者としては沖縄美ら島総体で選手らを全国8強へと押し上げた。現在も県空手道連盟国体強化コーチとして指導に携わる。

 2009年から居住する妻の地元・宜野座村への思いが強まった景光さん。妻の親族が栽培したマンゴーのおいしさに感激し、義弟から農業ハウスとマンゴーの木を借り受けて4月から栽培を本格化した。

 教員時代から、若者の離職率の高さや低所得に課題を感じてきたという景光さん。「高校生自身が経験して学び、仕事への考えや姿勢も変わる。(企業から)求められる人材育成をしたい」。学校での経験と地域とのつながりを生かし、地域と学校が深く連携したキャリア教育を目指す。

 代理店を務めるECサイト「ツクツク」を活用し、まずは「自分がマンゴー農園で結果を出して、高校生に講話できるようになりたい」と意気込む。

 7月から初めて収穫したマンゴーを売り出す。仲間農園のサイトはhttps://tsuku2.jp/storeDetail.php?scd=0000055166 (大橋弘基)