平和の尊さ発信続けるひめゆり平和祈念資料館 開館30周年 入館者半減、継承へ課題


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ひめゆり平和祈念資料館

 ひめゆり平和祈念資料館(糸満市)が23日で開館30周年を迎えた。沖縄戦に学徒動員された沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒たちの体験を通じて戦争の実相や平和の尊さを発信し続け、30年間で2281万4383人(有料入館者、今年5月末現在)が訪れた。ただ、入館者は年々減少しており、戦後世代への継承など課題は少なくない。普天間朝佳館長(59)は「資料館の役割はこれからも変わらない」と次世代への橋渡しに努める。

 2018年度の有料入館者は53万87人で前年度比2万5459人減。ピーク時の1999年度と比べると47万6573人減っており、9カ月間の開館だった初年度を除けば過去最低だった。修学旅行で訪れた学校数は1915校で前年度比111校減。展示内容を刷新した04年度以降、初めて2千校を割り込んだ。外国人観光客は前年度比592人増の6485人だった。

 元学徒の証言員が行ってきた戦争体験講話は15年3月で原則終了。現在も活動を続ける証言員は6人になり、全員90歳を超えた。現在はこのうち4人が交代で月に6回、展示室に立つ。講話活動は普天間館長を含めた職員5人が証言員の映像や写真、イラストを交えて行っている(予約制)。

 資料館は20年7月に開館以来2度目となる展示のリニューアルを予定する。生き残った元学徒が戦後に抱えていた思いなども展示に反映させるほか、増加する外国人観光客に対応できるよう多言語化も進める。