【識者はこう見る】官と民の談合の疑い 辺野古埋め立て土砂受注額が国算定と一致


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民意をよそに作業が進む名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 公共事業の場合、見積もり以前に価格が決まるということはあり得ない。そもそも公共事業は、国の税金を投入して執行される事業だ。事前に価格を決めて、事業者に見積もりをさせることはない。他の公共事業であってはならないことが、辺野古の基地建設では例外とでも言うのか。軟弱地盤問題など、いまだ明確な説明のない中で進める工事は実に不自然で、県民は納得できない。

 さらに、見積もり以前に沖縄防衛局が算定した価格と全く同じ価格が、1社の見積もりで決定されたことは異常事態だ。公共事業の材料の単価算定は、複数の事業者から見積もりを集める必要がある。官と民の談合の疑いが強く、不透明な事実が露呈している。

 県や沖縄総合事務局の事業にしても、見積もりを実施する以前に価格が決まることはあり得ない。予算の適正執行という面から見ても前代未聞だ。

 工期短縮を急ぎ、結論ありきのシナリオを演じている。説明のつかない予算執行がなぜ行われているのか。沖縄防衛局には、理由や根拠に関する合理的な説明が求められる。(談)
(宮田裕氏 沖大・沖国大特別研究員)