社会

「客は普通の人。観光客、高校生、米兵にも売った」 大麻売人の男性が証言 回復者「許しがたい犯罪行為」と批判

取材に応じる男性=6月下旬、那覇市

 2018年12月から今年5月末にかけて高校生を含む未成年者23人が関与し、うち10人が摘発・送検された6件の大麻事件の全容を県警が6月6日に公表して1カ月が経過した。県内の若年層に大麻がまん延しつつある現状が明らかになった事件は、県民に衝撃を与えた。会員制交流サイト(SNS)などを使い、たやすく大麻など薬物を売買できる実態も明らかになり、専門家は少年たちを取り巻く現状の危うさに警鐘を鳴らす。(梅田正覚、高辻浩之)

 県警が高校生5人を含む少年10人を大麻取締法違反容疑で摘発した事件が社会問題化する中、主にインターネットの会員制交流サイト(SNS)を通じて県内で大麻を売買している本島中部の男性(22)が5日までに琉球新報の取材に応じた。男性は県外の売人から大麻を仕入れ、今年からSNSを通じて手渡しで販売している。買い手の大半は若い観光客で、知り合いの高校生や米兵にも販売したと明らかにした。

 男性は「客は普通の人だ。県内の繁華街で大麻は日常的に流通している。大麻の購入資金がたまれば、もっと売りさばくことができる」と話す。男性の行動に対し、薬物依存回復施設「沖縄ダルク」の森廣樹代表は「許しがたい行為で明らかに犯罪だ」と批判している。

 男性が専門学校生だった18歳のころ、友人の勧めで大麻を使用するようになった。当初は罪悪感はあったというが「考えがさえてリラックスできる。趣味でやっている音楽活動のパフォーマンスが上がる」などの理由でのめり込んだ。

 大麻の売人をする知人の影響で、今年2月、SNSに大麻を販売するためのアカウントを作成し、隠語も交えながら大麻販売を宣伝している。これまで約20回、国際通りや恩納村など沖縄本島各地で大麻を売りさばいた。

 音楽を通じて知り合った高校生にも大麻を売った。知人を通じて求めてきた米兵に基地のフェンス越しに販売したこともある。

 麻薬のLSDやMDMAを入手し、使用した。LSDは販売したこともある。過剰摂取でパニックになったこともある。だんだんと効果の強い麻薬に手を出し始めているが「自分の体質に合った使い方をしていれば問題はない。自分は依存しないし、他人に迷惑を掛けるような事態にはならない」と主張した。

 沖縄ダルクの森代表は「インターネットで『大麻は体に悪くない』との話が流布しており、若者を中心に罪悪感が薄れている。だが沖縄ダルクでは実際に大麻依存に苦しんでいる人もいる。捜査機関は販売する者を取り締まってほしい」と話した。


 

【識者談話】ネットで流布、増える依存症/森廣樹 沖縄ダルク代表

 依存症からの脱却を支援する我々からすると、薬物を販売することは全く許しがたい行為だ。明らかにこれは犯罪だ。依存症で苦しむ人を増やすことに加担している。

 特に大麻を使う人は皆「大麻は体に悪くないから大丈夫」などと話す。インターネットで流布しており、若者を中心に罪悪感が薄れている。沖縄ダルクにも、大麻のみを数十年間使用し続けてきて、大麻を吸わないと何もかもやる気が出ない人もいる。大麻をやめたくてもやめられない依存症からの回復を望んでいる。

 私の過去の薬物依存の経験からしても、乱用者に対したとえ親や周囲が説教をしても本人の気付きがないと考え方を変えるのは難しい。処罰を受けるなど、人生の底を味わわないとターニングポイントにならない。捜査機関は違法薬物を販売する者を取り締まってほしい。最近はネットで違法薬物が簡単に手に入るようになった。手を出しやすいから依存症になる人が増えている。一方で、依存症を治療する病院や施設などは整いつつある。依存症から脱却したい人は、すぐに治療を受けてほしい。(談)