沖縄県、月内にも国提訴 辺野古訴訟、県議会が可決


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 沖縄県議会(新里米吉議長)は11日、6月定例会最終本会議で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡って知事が提出した、訴訟提起に関する議案2件を賛成多数で可決した。県議会の議決を得たことで訴訟が可能となった。県は早ければ月内にも沖縄県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の決定取り消しを求めて那覇地裁に訴訟を起こす方針。

 新基地建設に関する2件は、訴えの提起についての議決とそれに伴って訴訟費用689万5千円を盛り込んだ補正予算案だ。賛成は与党全会派で24人、反対は野党の沖縄・自民党と中立会派の公明党、維新で19人だった。

 米軍嘉手納基地や普天間飛行場周辺の河川や井戸の水から高濃度の有機フッ素化合物(PFOSなど)が検出されている問題で、日本政府に対して対策を求める意見書も全会一致で可決した。基地内への立ち入り調査実施や基準値の設定などを求めている。


公明党が辺野古訴訟予算に初めて反対 これまでは退席で意思表示 新基地建設の立場変わらず

 普天間飛行場の県外移設を求める立場を維持する公明党県本は11日の県議会本会議で、県による訴えの提起と補正予算の議案2件の可決に反対した。新基地建設に反対する一方、訴訟という手法は認めない立場で、これまで県議会では退席という形で意思表示してきた。今回は反対に回っており、従来より一歩踏み込んだ形だ。

 金城勉公明党県本代表は「これまでも訴訟を繰り返してきた。玉城デニー知事も対話を重視すると言う中、さらに訴訟に持ち込むのは納得できない。対話を重んじてかみ合った交渉ができるよう県でしっかり取り組んでもらいたいという思いだ」と説明した。

 公明党本部は政府方針に沿って辺野古推進を掲げており、反対する県本とはねじれ状態が続いている。県が取り消しを求めている政府の裁決を出したのは、公明党所属で党幹部も務めた石井啓一国土交通相。辺野古問題で重責を担う石井氏に対し、公明県本が辺野古反対の立場から県との対話を呼び掛けることができるか手腕が問われている。