情報通信業の雇用鈍化 沖縄県内立地の県外社 業務効率化も影響か


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 沖縄県情報産業振興課は16日までに、県外から沖縄に立地した情報通信関連企業数と雇用者数をまとめた。2019年1月1日現在の企業数は前年に比べ16社(3・5%)増の470社となったが、雇用者数は同24人(0・1%)増にとどまる2万9403人だった。雇用者の増加数は統計を取り始めた1990年以降で最も少なく、採用難が続くコールセンターなどの業種で雇用者数は減少に転じた。同課は人手不足の深刻化やIT(情報技術)の発展による業務の効率・省人化の進展が影響したと分析している。

 業種別に見ると、立地企業数は全ての業種で増加した。雇用者数については、データ入力業やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業などの「情報サービス業」が前年比4・6%(301人)減の6209人、「コールセンター」が同2・2%(394人)減の1万7874人となった。

 これに対し、ホームページ制作などの「コンテンツ制作業」は同25・6%(330人)増の1619人、「ソフトウエア開発業」は同8・3%(239人)増の3110人、「その他」は同34・0%(150人)増の591人と増加。コンテンツやソフトウエアの制作・開発系に就業者がシフトしている傾向がある。

 県はこれまで県内の若年求職者の多さや平均賃金の低さを呼び水として、雇用吸収力が大きいコールセンターなどの誘致を進めてきた。だが、直近では県内の有効求人倍率はコールセンターが5・5倍、情報サービス業が1・6倍に達するなど立地企業の採用環境は厳しさを増している。

 また、労働集約型だった業界側でも、事務作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や人工知能(AI)を活用した省人化技術の導入を積極的に進めており、雇用者数の伸びが鈍化した要因になっているという。

 県情報産業振興課の担当者は、今後も企業誘致と雇用者数の増加に取り組む考えを示した上で「数の増加も大切だが産業の高度化、高付加価値化への転換が求められる時期になりつつある」との見解を示した。

 最先端IT技術の県内導入を進める沖縄ITイノベーション戦略センターの盛田光尚常務理事は「高度な技術の集積を進め、情報通信産業だけでなく県内の全産業の活性化につなげることが大切だ。県と連携して企業立地を進めつつ、人手不足の課題についても考えたい」と述べた。