カツオ漁の餌を自動捕獲する装置 美ら島財団が特許開発 水揚げ減少の歯止めに


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 【本部】沖縄県本部町の地場産業カツオ漁の振興を目的に、沖縄美ら島財団がカツオ一本釣り漁の生き餌となる小魚ミジュンを捕獲・畜養する「魚類捕獲装置」を開発し、特許を取得した。近年、町内のカツオ水揚げ量は減少傾向にある。装置開発に携わった同財団総合研究センターの岡慎一郎主任研究員は「あまり人手を掛けず生きたミジュンを確保できる。漁師の負担軽減になり、カツオ漁の再興にもつながる」と期待した。

 装置は直径5メートルで、いけすの形をしている。青い発光ダイオード(LED)電球の集魚灯を装置の下部と内部に設置し、自動的に点灯・消灯することでミジュンをいけす内に導く。ミジュンがいけす内に入った後に、人力で網を絞って捕獲する。1晩稼働すると1度の漁で必要なミジュンの半数が捕獲できる。

 漁師がミジュンを捕まえて、カツオの漁場に運んでいた従来より大幅に効率化した。財団は15年2月に装置の構造を特許申請し、今年3月に特許を取得した。

 外国漁船の乱獲や海水温度の上昇などにより、カツオの水揚げ量は全国的に減少している。装置の活用で将来的なカツオ漁の活性化を目指す。岡主任研究員は「網を絞る作業をタイマー化したり、他生物の混入を防いだりするなど課題もある。さらに改良したい」と話した。
 (岩切美穂)