社会

「娘たちが戻ってきてくれるのが一番だが、どうすることもできない。ただただ悔しい」 池袋暴走事故の遺族が署名呼び掛け

署名を呼び掛ける被害女性の父親(右)=3日、東京都の南池袋公園

 【東京】「悔しい。本当に、本当に悔しい」。4月に東京・池袋で車が暴走し、沖縄出身の女性(31)と娘(3)が死亡した事故で、車を運転していた旧通産省工業技術院の元院長に対し厳しい刑事処分を求める署名活動が3日、都内であった。女性の父親で那覇市在住の男性(61)も駆け付けて署名を呼び掛けた。「メールを見ては電話してみようかなと思ったり。まだ夢のようだ」と、初めて苦しい胸の内を語った。

 女性は、2年前に妻を亡くした父親を気遣い、「テレビ電話ができるように」と父親の携帯電話をスマートフォンに機種変更した。1日おきに連絡を取り合い、事故前日も「6月にも沖縄に帰る」と会話したといい、帰省の準備をしている最中だった。「孫も一緒に、沖縄の海に行こうねと約束していたのに」。平穏な日々を奪った事故に声を震わせた。

 署名活動の現場となった南池袋公園は、女性と娘がよく遊びにくる場所だったという。

 1カ月ほど前から始まったという署名は、2日までに5万人を超えた。3日も午前中から多くの人が駆け付け、社会的な関心の高さをうかがわせた。「なぜ逮捕されないのか」と話しながら署名する人もおり、被害女性の父親は「これだけたくさんの人が関心をもってくれる。感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

 事故を振り返って「娘たちが目の前に戻ってきてくれるのが一番だが、どうすることもできない。ただただ悔しい」と話した上で、運転者に「責任をとって、罪を償ってほしい」と思いを語った。

 女性の夫は「署名活動を行うことで、少しでも再発防止につながってほしい」と期待を込めた。

 夫の母親も沖縄出身で、ボランティアには沖縄県人会関係者も参加した。玉城秀樹さん(63)は「高齢者の運転する事故が、2度と起こらないでほしい」と話した。

 沖縄県内でも18日に、署名活動が行われる予定。【琉球新報電子版】