種雄牛「茂北福」誕生 沖縄県、初のゲノム育種価選抜牛


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茂北福(県畜産研究センター提供)

 沖縄県畜産研究センターは13日、新たな県供用種雄(しゅゆう)牛に「茂北福(しげきたふく)」を選抜したと発表した。遺伝子情報を使って早期に、精度高く牛の能力値を予測できる技術「ゲノム育種価」を活用した選抜牛としては県内第1号となった。

 茂北福は2012年11月に宮古島で生まれた。スーパー種雄牛として全国で名をはせた「北福波」を父に持ち、母牛は「しょうの」。生産者は下地畜産。

 茂北福は遺伝子情報を基に牛の能力(育種価)の高さが推定され、種雄牛の候補に選ばれた。同じ父母から生まれた兄弟牛の枝肉成績を基に育種価を算出して候補牛を選ぶ従来の方法よりも、「ゲノム育種価」は生後すぐに測定ができるため選抜までの時間の短縮につながる。

 茂北福の育種価は、牛肉の「霜降り」の度合いを表す脂肪交雑の数値が県有牛で最も高い。種雄牛としての遺伝的な能力を最終判定する子牛の肉質検定では、これまで検定を行ってきた種雄牛57頭中1位となる脂肪交雑8・50を記録し、肉質等級がA4やA5ランクの割合(上物率)も94・4%など優秀な成績を収めた。

 現在、茂北福の子牛取引価格は県内平均を4116円上回る79万3476円と高値で取引されている。

 県畜産研究センターの嘉陽稔所長は「茂北福の能力の高さに県内外の肉用牛農家も注目しており、冷凍精液出荷本数が飛躍的に伸びている。今後、産子が安定的に出荷されることが期待される」と話した。