妻が明かす 翁長雄志前知事がプロポーズの言葉に込めた政治家としての覚悟


社会
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参列者らにお礼の言葉を述べる翁長樹子さん=22日、豊見城市の沖縄空手会館

 翁長雄志さんをしのぶ会でお礼の言葉を述べた妻の樹子さん(63)は、参列者に感謝するとともに政治家として生きた翁長さんの素顔を紹介した。知事として名護市辺野古の新基地建設問題という重大な政治課題に立ち向かった翁長さん。共鳴した多くの県民が参列したことに「仏前に『皆さんが本当に心からしのんでくださった』と報告したい」と涙ぐんだ。

 樹子さんは翁長さんからのプロポーズが「政治家になりたい。選挙で選ばれず、何回も挑戦するかもしれない。僕に無理なら若い子を育てる。一生政治から離れられないかもしれない」と覚悟を迫る言葉だったと説明。それにも二つ返事で応えた。市議、県議と政治家の歩みを進めたが、帰りは遅く明け方になることも多かった。それが念願だった那覇市長に就任するとまっすぐ家に帰るようになり「とても困った。年に何回かしか作らなかった彼の夕飯を毎日作るようになった」と振り返った。

 知事選出馬以降の話題に入ると樹子さんは声を落とした。知事になった翁長さんは新基地建設を阻止しようと、政府に何度も直訴したがなしのつぶて。「それまでの政治家人生は全身全霊喜びにあふれていた。知事の頃はほとんど心から笑っているのを見たことがない気がする」と吐露した。

 樹子さんは言葉を詰まらせながら、翁長さんが「政治家は使い捨て」と悲しい言葉を口にしながら、後進に期待していたことを説明。その上で、遺志を継ごうと集まった多くの県民に感謝した。