マリージョーの名で親しまれているマリージョゼ・ミッシェルさん(75)は生粋のカレドニアン(ニューカレドニアに根を下ろした市民)で、現地で日本を代表する「顔」でもある。両親が熊本系日系人でミッシェルさんは日系3世となる。
小学校教師や美術指導員、後任教師の育成など長年、教育界に貢献した。ニューカレドニア日本親善協会の会長を務めたほか、2005年から日本名誉領事を15年勤め上げた。ニューカレドニア独立を問う国民選挙のために、中立的な立場で話し合う賢人会議のメンバーとして3年間、市民の声を直接本国に伝えた。11年から沖縄民間大使として交流のために献身的に尽くしており、世界のウチナーンチュ大会の際はニューカレドニアのグループを引率してきた。これらの貢献に対して、日本政府から勲章・旭日章を受けている。
これまで精力的に活動したことについて「日本人の祖父の影響だと思う。祖父は大家族を養うために人を使って野菜を作ったり貝採集をしたりするなど、手を休めることなく働いていた。おかげで、おおらかで陽気でのんびりした太平洋民族にはめずらしい『努力する』という文化が身についた」と振り返る。
ニューカレドニアで起こっている暴動について「国を破壊することは受け入れられない。この国の歴史や人物に対する敬意も未来を建設する視点も感じられない」と批判する。原因について「経済開発の促進ばかりに力を入れすぎていたのではないか」と指摘した。ニッケルの好景気やリゾートホテル建設、最新式の総合病院を構え、医療や教育のための助成金を拡大した。その結果、格差はさらに広がり独立派と反独立派の溝はさらに深まったと見ている。「未来への展望は難しいが制度を根本的に立て直さなければ希望は持てない」と強調した。
(山田由美子ニューカレドニア通信員)