有料

薄れる関心、歯がゆく ノリ漁師・古賀さん「最後の仕事」差し止めへ オスプレイ佐賀駐屯地着工1年


薄れる関心、歯がゆく ノリ漁師・古賀さん「最後の仕事」差し止めへ オスプレイ佐賀駐屯地着工1年 駐屯地建設工事の差し止めを求めている、ノリ漁師の古賀初次さん=3月、佐賀市
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 陸上自衛隊輸送機V22オスプレイの佐賀配備に向けた駐屯地の建設工事が始まり、12日で1年となった。「話題に上がらなくなった」。配備予定が来年に迫る中、海の環境と平和を脅かすとして昨年、工事差し止めを求めて佐賀地裁に提訴した佐賀市のノリ漁師古賀初次さん(75)は、地元で関心が広がらない歯がゆさを吐露した。

 穏やかな有明海が南側に広がる駐屯地の建設現場では、昼夜問わず複数の大型クレーンが稼働する。昨年着工するまでは麦畑が広がっていた。現在は、8階建て庁舎の建設が進んでいる。

 オスプレイは来年7月を期限に、千葉県の陸自木更津駐屯地に暫定配備されている。九州防衛局によると、建設工事は順調だという。

 「(国の力を)まざまざと見せつけられた。反対の気持ちが伝わらんまま工事が始まって、ただぼうぜんと見る感じがしてならない」。古賀さんは、国が佐賀県に配備を要請した2014年から反対の声を上げてきた。

 ノリ漁は記録的な不作が続いている。「諫早干拓によって、極端に言えば『宝の海』から『死の海』へ変わった」と肩を落とす。

 駐屯地からの排水で水質が悪化する懸念はある。安全保障という国策の下、有明海のノリ漁はさらなる苦境に見舞われかねない。古賀さんは「これ以上悪くなったら死活問題」と訴える。

 オスプレイは機体の欠陥が指摘され安全性も懸念される。昨年11月には鹿児島県・屋久島沖で墜落。だが多くの住民は配備への賛否を表に出さない。「反対の仕方が悪かったかな」。古賀さんは関心が広がらない現状に自責の念をにじませる。

 佐賀市は駐屯地開設で周辺店舗の需要が高まるなど、税収増を含めた経済効果は年間12億円に及ぶと見込む。地域振興への期待の一方、周辺住民からは「にぎやかになるとは思えん」と波及効果を疑問視する声も漏れる。

 佐賀大の吉岡剛彦教授(法哲学)は「地元を含めた国内全体の世論の無関心が最大の課題。墜落や排水による海洋汚染などを想定し、特定地域に局地的負担を強いている不公平さを自覚すべきだ」と問題視する。

 古賀さんは「天から授けられたノリ養殖を受け継ぐための最後の仕事」として、工事差し止め訴訟を闘う覚悟だ。

(共同通信)