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「無関心が人権を形骸化」 若月賞の伊波さん ハンセン病強制隔離語る


「無関心が人権を形骸化」 若月賞の伊波さん ハンセン病強制隔離語る 若月賞を受け、記念講演する伊波敏男さん=26日、長野県の佐久総合病院(信濃毎日新聞社提供)
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 保健・医療・福祉の分野で功績のあった人に贈られる「第32回若月賞」を授賞した、ハンセン病回復者で作家の伊波敏男さん(81)=浦添市=は26日、長野県の佐久総合病院で行われた授賞式に出席した。記念講演で14歳から15年間、「らい予防法」により強制隔離されたことなどの経験を振り返り「人権は民主主義の基本。国民の無関心が人権を形骸化させる」と語った=写真(信濃毎日新聞社提供)。
 14歳で入った沖縄愛楽園には高校はなく、高校に入るため沖縄を離れた。「伝染病患者輸送中につき立ち入りを禁ず」と書かれた郵便貨車の車中で、ハンセン病について一般病院と在宅での治療や社会復帰の推進などをうたったローマ会議決議文書(1956年採択)を読み、「生き方が決まった。この許せない壁に必ず風穴を開ける」と決意したと語った。
 伊波さんは質疑応答で、ハンセン病患者が受けたような差別を繰り返さないために「国民皆が当事者であると思うことが重要」と話した。
 長野県で沖縄の基地問題を発信する「信州沖縄塾」も運営してきた伊波さんは、昨年12月と5月にあった米兵による性的暴行事件など沖縄の米軍基地問題も紹介し「沖縄はいまだにアメリカと日本の植民地のままだ」と語った。
   (狩俣悠喜)