沖縄防衛局が、名護市辺野古の新基地建設に使う土砂を搬出するため、同市安和桟橋の使用を22日から再開することを決めた。桟橋前で6月に起きた死傷事故の原因究明も進んでいないなか、新基地建設に対する市民の抗議活動を封じ込めて強行する方針だ。市民側は反発し、ダンプ運転手からも「かえって危なくなる」と懸念する声が上がっている。
21日午後。防衛局から工事を請け負っている建設共同企業体(JV)は、ダンプの運転手たちを集め、22日から作業を再開することを伝えた。
「桟橋の出入り口で、抗議の活動家が牛歩できないようにバリケードする」。関係者によると、市民の抗議を封じるためにネットを使うことや、県警に機動隊の配備要請をしたと説明があったという。
ダンプは1台ずつ出すようにし、危険性が指摘されていた「2台出し」をやめる説明もあったという。それでも運転手の一人は、抗議活動を力で封じ込めようとする防衛局側の方針に懸念を示した。「市民が反発し、かえって現場は危なくなるだろう」
防衛局の方針を聞いた市民側は反発を強めている。
沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「県が求めていた事故原因や安全対策を説明しないまま再開を強行するなんて、防衛局はけしからん」と批判。「辺野古反対運動の正念場で、県も『遺憾』と言っているだけでは黙認と同じことだ。知事も現場に来るべきだ」と県に毅然(きぜん)とした対応を求めた。
県労働組合総連合(県労連、穴井輝明議長)もこの日、抗議声明を出した。声明では、「警察による検証結果が示されないなかで作業が行われるとすれば、重大事故が再発することは十分考えられる。防衛省が前のめりの判断をし、県民を危険にさらすことに強く抗議する」とし、根本原因である新基地建設の断念を求めた。
(南彰)