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「犯罪被害者支援条例」制定へ 名護市、県内市町村で初 生活支援、医療福祉に 沖縄


「犯罪被害者支援条例」制定へ 名護市、県内市町村で初 生活支援、医療福祉に 沖縄 条例の制定に向けて、意見を交わす名護市や県、名護署、県警などの関係者=28日、名護市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

 【名護】犯罪で被害にあった人や、家族の生活を支援しようと、名護市(渡具知武豊市長)は、県内市町村で初めて「犯罪被害者等支援条例」の制定に向けた準備を進めている。市民や市内に勤務、在学する人を対象に犯罪に遭った際の相談を受け付ける総合窓口を市総務課に設置し、住居確保などの生活支援、各種申請の補助や医療福祉サービスにつなげる方針。早ければ市議会12月定例会に提案し、2025年4月の施行を目指す考えだ。

 犯罪被害者等基本法に基づき、県は2022年7月に支援の目的や基本理念を定めた県犯罪被害者等支援条例を施行したが、これまで市町村単位で条例を策定した例はなかった。ことし5月に名護署の沖田暢彦署長、高島久典副署長が渡具知市長と面談した際に条例制定を提案、渡具知市長が必要だと判断し、約3カ月で素案を策定した。

 市条例の素案は、市の責務について、関係機関の連携や役割分担を図りつつ、円滑な支援が進むよう体制を整備することなどを明記した。犯罪被害を受け、元の住居に住むことが困難になった場合、市営住宅や市保有の宿泊施設などを貸し出すなど、一時的な住居の提供などを行う。条例に基づき、心身の不調に関する医療、介護の専門家の紹介など、具体的な施策展開につなげる考え。

 条例の制定に向けて、28日には市や県、名護署、県警本部、沖縄被害者支援ゆいセンターの関係者らが集まり、会議が開かれた。会議の中で、名護署の高島副署長は、1996年6月に名護市で帰宅中の女子中学生が拉致され、殺害された事件を挙げつつ「少女が条例になって生まれ変わるくらいの気持ちで作っていきたい」と話した。

 会議では、支援の対象範囲、他の自治体や機関との連携について意見が交わされた。名護市の藤本新一総務課長は「県内市町村で初ということもあり、現在精査中だが、制定する意義は大きいと思う。議論を進め、来年4月1日からの施行を目指していきたい」と話した。

 (池田哲平)