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「自然大切にしながら伝統行事」糸満大綱引き 赤土対策ベチバー、綱にも活用 沖縄


「自然大切にしながら伝統行事」糸満大綱引き 赤土対策ベチバー、綱にも活用 沖縄 ベチバーを活用して小綱を編む糸満市の當銘真栄市長(右)ら参加者=1日午前、糸満市の新屋敷公民館前
この記事を書いた人 Avatar photo 田中 芳

 【糸満】旧暦8月15日の9月17日に開催される糸満大綱引きに向けた小綱作りが1日、糸満市内の各所で実施された。市では昨年の糸満大綱引きから、農地の赤土対策で使用されるイネ科の植物ベチバーを綱の材料として活用する、赤土流出防止プロジェクト(沖縄イニシアティブ)のベチバーを使っている。新屋敷区自治会館では区民らがわらを編み、本番に向けて準備を進めた。

 ベチバーを農場の周囲に植えることで、大雨が降った際に農地から海への赤土流出を防ぐことができる。

 當銘真栄市長は小綱作りが行われた各区の作業場を回り、区民を激励、「環境に優しい、世界や全国に誇れるような綱を作り、糸満大綱引きをさらに発信していきたい」と意気込みを述べた。

 小綱作りでは中国産の稲わらと、ベチバーの2種類が使用された。ベチバーの使用量は昨年からさらに増やし、今回は全8トンのうち6トンでベチバーが使われる予定。そのうち4トンは市内で調達し、一部は本部町と今帰仁村、東村、大宜味村から提供を受ける。當銘市長は「自然を大切にしながら伝統行事に取り組む。糸満市は第1次産業が大きいので、各農家の方々に取り入れてもらえれば、今後は市内だけで調達できるようになる」と期待する。

 ベチバーはわらと比較すると長さがあり、小綱作りの時間短縮にもつながっているという。新屋敷区の崎浜盛次自治会長は「糸満の旧暦文化を尊重しながら、伝統行事を守りたい」と話した。

 出来上がった小綱は本番の午前中に大綱に仕上げる。

(田中芳)