県議会文教厚生委員会(新垣新委員長)は13日、県病院事業局が現地で建て替える将来構想を公表した県立中部病院を視察し、移転を主張する玉城和光院長らと意見交換をした。玉城院長は「現地建て替えでは病院の機能が落ちる。沖縄の医療をどうするか、グランドデザインの中で中部病院の役割を考えてもらいたい」と訴えた。
委員10人が訪れ、狭い通路や病棟間の長い渡り廊下、職員が肩を寄せ合って作業する検体検査室を視察。
案内した橋口幹夫副院長は「救急外来が狭いため手術場などを併設できず、感染症対策にも適さない」と指摘。現地での高層化による床面積の確保ではなく「敷地面積が必要」とした。
続いて委員らは病院幹部と質疑応答。現地建て替えで渡り廊下が残ることについて、神里敬子副院長は、患者を伴い毎日何度も往復する危うさを説明し、「職員にとって働きたい環境ではない」と述べた。
山里将雄委員に「現地建て替えは無理と考えているのか」と問われた橋口副院長は「日常の診療をしながら、職員が複雑な工事の対応するのは無理だ」と応じた。また、平良識子委員の「将来構想検討委員会で病院側の意見はくまれなかったのか」との質問に、玉城院長は「現地建て替えと移転とが同等には検討されなかった」との見解を示した。
新里匠委員からは「委員会で調査中なのに、病院事務局は将来構想を知事に示した」との指摘も。「議会軽視」との声も出ているという。
この後、委員らは、うるま市が移転先として提案している同市上江洲・仲嶺地区も視察した。
(宮沢之祐)