名護市の安和桟橋前で、沖縄防衛局が辺野古新基地建設のために桟橋を使用開始した2018年12月以降、今年6月の死傷事故を含めて33件の事故が起きていたことがわかった。防衛局は市民の抗議活動を排除する形で土砂を搬出するダンプカーの台数を増やそうとしているが、市民からは「もともと交通量が多い場所で、ダンプカーを出入りさせていることに無理がある」と国や県に抜本的な見直しを求めている。
現場は、名護中心部と本部半島を結ぶ片側2車線の幹線道路。これまで県警が人身事故として処理した3件(6月の死傷事故含む)を公表していたが、沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんが県警に開示請求した事故報告書などで全体像が明らかになった。
開示された記録によると、安和桟橋前で18年12月以降起きた事故は、19年4件▽21年3件(うち人身事故1件)▽22年12件(同1件)▽23年8件▽24年6件(同1件)の計33件。事故を起こした車種は黒塗りになっているが、33件のうち約30件は工事関係車両が出入りしている曜日・時間帯に起きていた。
安和で抗議活動を続ける西浦昭英さんによると、工事を急ぐ国側が、ダンプカーの稼働時間を延ばしたり、左折・直進・右折の3方向から桟橋に入れたりするなど、無理な運用をする中で事故が相次いでいた。北上田さんは「工事用車両がフル回転していく中で事故が増えた」と分析。国側は8月22日の使用再開後、市民の牛歩を制限してダンプカーの台数を増やしているが、「これだけ事故が起きている危険な場所で、これから6~7年も続けていくのは無理がある」と防衛局や道路管理者の県に抜本的な見直しを求めている。
(南彰)